Dairy for Paranoid

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06.8.14 Mon.  『大停電の夜に』             23:34
 「そんなタイトルの映画があったなあ」と思い出しました。この映画は、2003年の「ニューヨーク大停電」にインスパイアされてできた作品なんですよね。

 本日7:30ごろ、東京都と千葉・神奈川両県の一部で大規模な停電が発生。計140万戸が停電し、JR・私鉄・地下鉄の各線がストップしました。停電に伴い、信号機が点灯しなくなったり、エレベーターの中に人が閉じ込められたりといった深刻なトラブルも続発しましたが、約3時間後の10:44、電力が復旧。幸いなことに負傷者は出ませんでした。
 東京電力によると、東京都江戸川区と千葉県浦安市の間を流れる旧江戸川にかかる送電線を、航行中のクレーン船が傷つけたことが原因とのこと。停電の範囲は中央・千代田・新宿・世田谷・渋谷など14区1市(計約97万戸)と、横浜・川崎両市(22万戸)、浦安・市川の両市(20万戸)の計約140万戸に及びました。
 「たった2本のケーブルの損傷で、首都機能がマヒしちゃうのね」と、災害が起こる度に露呈する「都市の脆弱さ」をまたしても思い知ったわけですが。それにしても、電力復旧、早かったですね。

 奇しくも2003年8月14日16:00ごろ(日本時間15日早朝)に、米国東部のニューヨーク、クリーブランド、デトロイト、ペンシルベニア、バーモント、オハイオ、コネチカット、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガンの各州をはじめ、カナダのトロントやオタワなどを巻き込んで起こった史上最大の「大停電」。あのときは電力復旧に29時間かかったのではなかったでしたっけ。
 もちろん、規模の大きさは違いますが、それでもこのたびの東京電力は迅速に対処したと思います。
 もう日が昇っていたこと、午前中だったので冷房がなくてもまだ耐えられたこと、昼食時前だったこと、なによりお盆休み中の企業が多かったことが幸いしましたね。ただ通勤途中だった方、子ども連れで遊びに行く途中だった方はたいへんだっただろうと心の底から同情申し上げます。

 で、私はと申しますと、まったく停電に気づきませんでした。不燃物ゴミの日だったのでゴミを捨てに出て、それからテレビを見たり、PCをつけたりしていましたが、テレビもPCも消しているときに停電が起こったのでしょうか。
 小田急線が止まったらしいので、私の自宅近辺も停電していたはずなのですが、まるっきり気づかず。お昼のニュースで停電があったことを知り、「どこまで世間に乗り遅れてるねん」とちょっといじけた気分になりました。

 電車、とくにゆりかもめの運転再開が遅かったことを考えますと、つくづく「夏コミ期間中に起きなくてよかった」と思います。近年は「晴天伝説」が崩れつつあるコミックマーケットですが、こういうところはやはり運がいいのかな。

06.8.13 Sun.  「夏コミ」……祭りのあと         22:53
 企業展示場に出入りしていますと、そこで囁かれるウワサが気になったりします。すなわち「今回のコミケでは、どのメーカーがいちばん列が長かったか」「どのメーカーの何がいちばん売れていたか」。これらは、コミケ限定品の購入や無料配付本の入手に訪れた方にとって、希望の品を手に入れられるかどうかの重大なバロメーターです。加えて、それらの情報は「今の旬のメーカー、作品、商品はなにか」「これまで旬だったメーカーや作品は、今はどうなのか」「これから出る新作は、ユーザーの評価を得ているのか」などを占ううえで、大きな手がかりになります。
 ご多分に漏れず私も、メーカーのブースを覗いては、どんな商品をラインナップしているのか、どのような客層をターゲットにどんなものを配付・販売しているのか、列はどれくらいかなどなど、だいたいのところをチェックしています。ま、仕事でコミケを訪れる人間は、そういうところを見たり感じたりするのも業務のうちだったりするのですが。

 企業展示場のみならず、サークルでもやはり同じような現象が起こっているのですよね。
 「壁サークル」とか、大規模ジャンルにおける「誕生日席」とか、「どれくらいの列ができたか」とか、「どれくらいの時間で何部売れた」とか、「完売した」とか。イラストや小説がうまい人の作品は売れて当然ですし、プロが参加していれば、そこに群がる気持ちもわかります。でも「イベント参加の成否は売り上げがすべて」みたいな、商業主義に走ってほしくないなあと思います。
 売れないより売れたほうがいいですし、つくったものならたくさんの人の手に渡ってほしいと思う、それは自然なことです。でもイベントに参加した感想が「よく売れた」だけでは寂しいと思うのですよね。同じ趣味の人が集まってワイワイやれる楽しさ、めったに会えない人と会える喜びといった、日本最大の同人誌即売会ならではの「お祭り」の感覚がいつまでもあってほしいと思います。

 ところで今回、企業展示場で「笠地蔵」をたくさん目撃したのですが、アレはなんだったのでしょう。一般参加の男性が、かわいらしいイラストのついた水色の紙製の、「笠地蔵」の笠のような帽子?をかぶっていたのです。それも、たくさん。どこかのメーカーが配っていたのでしょうか。頭にちょこんと水色の笠を乗せた大柄な男性が会場のあちらこちらにうごめいているのが、なにやらかわいらしくて、ちょっと笑えました。

 ……しかし、企業展示場の空気の薄さと微妙に漂う酸っぱい匂いは、何度行っても慣れません。会場満杯の男女が歩き回って汗をかいているので、仕方ないのですけどね。

06.8.12 Sat.  「夏コミ」に行きました!         23:30
 「コミックマーケット70」2日目に参戦しました! 大まかな行動は「仕事サイト」に書きましたので、興味がおありの方はそちらもどうぞ。

 このたびの「戦利品」は、Nitro+CHiRALの「キラルセット」(小説本『咎狗の血 外伝』、『Lamento -BEYOND THE VOID- World guidebook』、「『Lamento -BEYOND THE VOID-』コノエ図書カード」、「『咎狗の血』アキラちびフィギュア」、ニトロプラスシールが、コノエイラストのクリアケースに入っています)、「『Under The Moon』エキストラブック」、ドラマCD『絶対服従命令 カウント・ゼロ』、ドラマCD『オヤジがタンスに入るとき』、ドラマCD『LIVE×EVIL 白色矮星』+イベント限定CD『古書店の怪』、『アラビアンズ・ロスト Inside story』、「コゼロサム」Vol.04&Vol.06、『最遊記OFFROAD』ほか。仕事用資料から個人的なブツまでさまざま。
 しかし『東京おでかけガイド TOKYO Otome Road』まで買ってしまったときは、やはりちょっと「今、頭、湧いてるかもしれん」と思いました。

 「キラルセット」は特に『咎狗の血 外伝』と『Lamento -BEYOND THE VOID- World guidebook』が欲しかったので、GETできて嬉しかったですv 4000円はちと高かったけど(笑)。
 『LIVE×EVIL 白色矮星』+『古書店の怪』は、帰宅後、早速聞きましたv ゲーム『LIVE×EVIL 灼熱のエデマ』に興味があったので、ゲームのストーリー以前のユウシとケンショウの関係がわかって、「これはなかなか!」でした。シナリオに深みがあっていいですね。すっかりキサがお気に入りです。『古書店の怪』には大笑い。
 『絶対服従命令 カウント・ゼロ』は、ゲームで気になっていた「キアとルイーズがどうしてチームを組んだのか」を知ることができました。チョーカーとバングルの謎も解けましたし。こういうゲームにプラスアルファの情報を与えてくれる(そしてストーリーのある)ドラマCDは好きです。……「水音」のところは、「アレってこんな音がするんだ」とかヨソゴト考えて、聞き飛ばしちゃうんですけど orz。
 『オヤジがタンスに入るとき』は、なぜこんなタイトルなのか、聞いた人にしかわからない。笑えるんだけど、後口がちょっとしみじみりぃなのがいいですv

 東館に参加されているサークルさんも回りました。このたび、お知り合いは3カ所にいらしたので、順番に回って、ちょこっとお話して。
企業展示場で、あるメーカーの無料配付本の配付列が13:30からの形成だったので、あまりゆっくりできませんでした。その節は慌ただしくしてしまってすみませんでした m-_-m。ご本をいただきましたNさま、Fさま、Sさま、ありがとうございましたv じっくり読ませていただきますvv

 本当は、夜、サークル参加された方の打ち上げの飲み会に混じるつもりだったのですが。うっかり「事務所に顔を出してから合流しよう」なんて思ってビッグサイトから出てしまったがために、雷雨に見舞われ、全身濡れ鼠に。そのうえ、落雷で電車が止まったり、ダイヤが乱れたりで、結局、夜の飲み会はキャンセルしまいました。……残念。でも「心残りひとつあって、満了」と言いますからね(と、自分を慰めておく)。
 私の「夏のお祭り」、終了です。

06.8.10 Thu.  非常時こそ平常であれ           23:14
 英国のヒースロー空港で、テロ未遂事件発生。
 ロンドン警視庁は、この日、英国から米国へ向かう飛行機を爆破するというテロ計画を阻止し、25人を逮捕したと発表(そのうち4人は、後に釈放)。この計画は、機内持ち込みの手荷物の中にペットボトル飲料に偽装して忍ばせた液体爆弾を、インスタントカメラのフラッシュを使って爆破させるというもの。同時に9機の飛行機を空中で爆破する予定だったと言われています。
 現在、英国のテロの脅威度は「severe(深刻)」から最高レベルの「critical(危険)」に変更され、特に出国便について、ドリンク・化粧品・薬・コンタクト洗浄液を含むいっさいの液体や電子デヴァイスなどの機内持ち込みが禁止されています。

 テレビでニュースを見ながら、「また飛行機を狙うか!」と思わず声が口をついて出てしまいました。9.11のあの卑劣なテロ行為をまたもや実行しようとしていたなんて、そういった計画を思いつく性根がありえなさすぎて目眩がします。結局、飛行機を爆破したところで、それがなにをもたらすのでしょう。9.11のときも、多くの人を殺し、さらに多くの人を哀しませ、しかしテロリストにはそれまでの万倍もの憎しみしかもたらさなかったのでは。米国が、彼らのなにかしらの要求をのんだという報道はなかったように記憶しているのですが。

 テロリストになるからには、なにかしらの要求や主張があるのでしょう。彼らの置かれた境遇や故国のありさまを見れば、それをもたらした「世界」に復讐したくなる気持ちもわからないではないです。けれども飛行機を狙うなどという、究極に卑怯な手を使っているかぎり、世界の感情が彼らにプラスに作用することはないと思います。

 この計画を未然に防いだロンドン警視庁と国家保安部(MI5)に、拍手を贈ります。去年7月、ロンドンの地下鉄や路線バスが爆破され、56人が死亡する同時多発テロ事件が発生して以来、1年余にわたって警戒体制を敷いてきた英国政府の成果ですね。
 けれども「いつまで警戒しつづけなくてはならないのか」「いつか警戒網を破られ、自分の乗った飛行機が爆破されるかもしれない」、そんな「恐怖(terror)」を人々の上に投げかけたことがすでにテロなのだと、心が冷えゆくのを感じます。

 英国では今、「非常時こそ平常であれ」という言葉がモットーになっているのだとか。長らくテロリストと闘ってきた彼の国を見倣って、まず「恐怖」に捕われないようにすることが、テロリズム克服の一歩でしょうか。

06.8.1 Tue.  端正な人                 23:30
 現在発売中の「クロワッサン特別編集 向田邦子を旅する」(1500円 マガジンハウス)を購入しました。

 私は昔からNHK連続テレビ小説や『渡る世間は鬼ばかり』に代表される、家族や日常生活をテーマにしたドラマが好きではありませんでした。家族内のややこしい話やうっとおしい話は、現実だけで充分と思っていたからです。それは今でも続いていまして、向田邦子作品についても、テレビドラマを見たこともなければ、小説を読んだこともありませんでした。
 ただ向田氏が飛行機事故で亡くなられたときに、祖母や母が食卓の話題にし、それから後もおりおりに思い出したように話していましたので、お名前には親近感があったのです。

 このたび、このムック本で向田氏の軌跡を知り、祖母や母が憧れをこめて話していた理由がわかりました。経歴もさることながら、教養人であり、趣味人であられたこの方は、姿形だけでなく、その存在が端正な方だったのですね。
 本誌のなかで向田氏が愛された料理や菓子、衣装や文具類、陶器類が写真つきで紹介されていますが、雑多に思えるなかに筋のとおった好みが透けてみえて、嗜好に妥協のない方だったのだなあと思いました。

 再録されたエッセイからうかがえる、ひじょうに知的でかつ、知識の限りない深さをうかがわせる文章。知識を蘊蓄語りではなく、エッセンスとして文章に織り込まれる技。さらりと読ませながら、独特のウイットで印象に残るセンテンスの数々。端正な文章を書かれる方がいらしたものだと、感心をとおりこして、感動してしまいました。
 また手紙がいいのですよね。誌面には向田氏に宛てられた手紙と、向田氏が書かれた手紙が収められているのですが、やさしくも厳しくも思いやりのこもった文章のやりとりが、向田氏の交友関係の豊潤さを感じさせます。向田氏はあまり手紙を書かれなかったそうですが、残された手紙から、おそらく相手に送る言葉にたいへん気をつかわれる方だったのではないかと拝察します。坂本龍馬記念館でも思ったのですが、手紙文ほど、書いた人の人柄が出るものはありませんね。

 またこのムック本、ここ最近ではたいへん細やかに編集が行き届いた、完成度の高い1冊と思いました。本のつくりがひじょうに端正。編集部の向田氏への思いまでうかがえるようです。

 読みながらなんとなく母を思い出したので、電話をかけて「向田さんのムック本が出てるよ」と知らせました。「文章書きとして、到底かなわん人やわ」と言うと、「そらそうやろ」と、ふっと鼻で笑われました。悪かったな! ついでに向田氏のファンだったのは祖母で、母はむしろ白洲正子が好きだということが判明。旧白洲邸「武相荘」へ行けと勧められました。あなたが行かんかい。

 すでに不惑の歳でありますれば、今さら性格や生きざまを変えられるわけもなく、ここまでの道程で手前勝手に積み上げてきた経験からしか語る言葉さえもたないわけですが。「こういう人がいた」ということが知れただけ、少し心が豊かになったような気がするのは、なんの作用かと思うこのごろです。


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