Dairy for Paranoid

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06.10.31 Tue.  Happy Halloween!           23:14
 18時ごろ、スーパーに向かって歩いていたところ、曲り角の向こうから、なにやら賑やかな声が聞こえてきました。何を言ってるのか、今ひとつはっきりせず、スーパーの方角から聞こえてくることもあって、「なにかの路上販売の呼び込みかな」と最初は気にも留めませんでした。
 ところが、その声、どんどん移動して近づいてきます。

 曲り角から現われたのを見れば、黒マントにホウキをもったお姉さん(おばさん?)を先頭に、魔女(女の子複数)や妖精(女の子も男の子もそれなりに)、吸血鬼(男の子)、黒ネコ(女の子)、ミツバチ(男の子……なんでミツバチ?)などなどの仮装をした子どもたち&魔女の格好をしたおばさまたち、20名ほどの行列。
 手に手にオレンジ色のパンプキンのかたちをした風船やキラキラ光るビニールの風船、お菓子が入っているっぽい袋やカゴをもっています。子どもも大人も外国人がほとんどで、なかに数名、日本人が混じっているもよう(仮装しているので、はっきりとはわからないのですが)。つきそいのおばさま方はお母さんか、幼稚園などの先生か。どこかのコミュニティのイベントあるいは幼稚園のイベントなのでしょうか。言葉もよく聞けば、「ハッピハッピ・ハロウィン! ハッピ・ハロウィン!」と節をつけながら歌っていたのでした。子どもたちがてんでばらばらに発声するので、よく聞かないと聞き取れないんですけどね(笑)。
 思いもかけない、かわいらしい行列の登場に、スーパー前にいた人たちが、立ち止まって眺めています。私もそのなかに混じって、行列が去っていくのを見送りました。

 日本でことさらにハロウィン、ハロウィンと連呼されますと、「いや、あの祭りは、そのあとのオールセインツデイ及びオールソウルズデイの“前夜祭”なんだから」と、意味もなく節操もない外国文化の導入っぷりにゲンナリしますが(言ってみれば、外国で日本の精霊流しが行なわれているようなもの)。外国の方々がハロウィンの仮装行列をなさっているのは、わざとらしさがなくていいですねv 仮装も、皆さん、よくお似合いですv
 今年は楽しく微笑ましい気分で、「Happy Halloween!」。


 この日はHarbotワールドでもハロウィンでした。
 突然のお化けカボチャ出現にびっくりするミラーを見て、夜中に笑ってしまいました。みごとに、後ろにひっくり返ってるんだもの。ランタン付魔女帽子をもらったミラーは、お化けカボチャに励まされたそうですが、なにを励まされたんだか……。

 思いがけないハロウィンイベント2連発。思わずクスクス笑いが出てしまう万聖節前夜でした。

06.10.30 Mon.  「お薦めBL〜♪」なんて言ってみる。  23:53
 以下は、ボーイズラブ(BL)なつぶやき。苦手な方はここまでで、「プリーズ、回れ、右」(笑)。




 2005年2月に刊行しました『パラケルスス・パラミールム 指先にくちづけて』伊藤智砂(学習研究社/もえぎ文庫)の編集作業をして以来、商業BLもそこそこ読むようになりました。とはいえ、どっぷりはまっている方に比べれば、「It's Elementary, My Dear Watson!」(このセリフ、コナン・ドイルの「正典」にはなくて、ホームズ映画で有名になったのですね)という段階ですが。
 その初歩の初歩な読書経験の中でも、来し方を眺めて気に入った作品をコミックス限定で上げてみます。

『はつこいの死霊』草間さかえ(東京漫画社/マーブルコミック)
 定規を使わない独特の画面構成とパースの取り方が、まったくもって二次元の絵にしか見えないのに、三次元的奥行きを感じさる、独特の空間描写が好きです。とくに主人公たちの情事の舞台となるラブホ裏の洋館風共同住宅がいい感じなのですよv
 そしてなにより、主人公ふたりが色っぽい! 甘さのないシャープな描線が男性の身体をきちんと象っていて、その骨ばった感じがまず萌えますv 考えてみれば、裕一にとっては「誤解で犬に噛まれた」ような状況なのですが、いつか彼がそれに気づいても、二人の関係はこのまま続いていくんじゃないかという、二人のしっくりとはまり合った関係がいいなあと思います。
 片方が女性っぽい甘えを見せるのではなく、両方が男として立っている作品が好きです。女の甘え方と男の甘え方は違いますから、そのあたり、きちんと描かれていると「ええなあv」と目を細めてしまいます。
 購入して以来、私の特別愛蔵書の棚に常にキープの1冊です。


『未来の記憶』『風の行方』国枝彩香(ビブロス/BE×BOY COMICS)
 今市子の作品が好きな方なら、こちらの作品もけっこう好みに合うのではと思います。物語の中心にいるのは主人公たち二人だけど、たとえば職場の同僚とか、お互いの家族とかがしっかり絡んできて、二人の関係に波風を立てたり、進展させたりというのは、すごくリアルな感じがします。絡まり方が、所詮ギャグでも(笑)。
 国枝氏は、男はどうしようもなく肉の誘惑に弱いけれど、その行為には間違いなく心が伴っていくのだ、ということを、描こうとされているような気がしてなりません。本作の二人も、片方はノーマル、片方はステディな関係はお断りという出会いだったのが、だんだん「彼でなければ」と思うようになってくる。その想いの深化には、間違いなく「抱き合ったときの快楽」が作用しているという、とても人間的で根源的な部分がナチュラルに描かれているところが好印象。
 『未来の記憶』と『風の行方』で完結する、カタブツ教師とナンパ教師の恋物語。リブレから早く再出版されるといいのになあと思っています。

 やはり国枝氏の『夏時間』『ため息の温度』『いつか雨が降るように』(すべて、竹書房/BAMBOO COMICS REIJIN selection)もけっこう気に入っています。1冊に収録された短編のシリアスからギャグまでの振り幅の大きさに、ストーリーテラーの才能を感じつつ、振り回されていますが(笑)。でも私にとってのいちばんは、『未来の記憶』&『風の行方』ですね。


『hand which』鈴木ツタ(竹書房/BAMBOO COMICS REIJIN selection)
 なにがこんなに好きと思わせるのかわからない、不思議な作品です。ストーリー的になにかしらの山や谷があるわけでもなく、主人公たちが自分の心の中でジタバタしている程度で、お話自体は淡々と語られる。エロいシーンがきっちり描かれていて、作品としては「Hがメイン!?」とも思えそうなのに、なぜかひどく後味の良さが後を引くのです。
 読みながら「恋する気持ち」に感情移入してしまっているのか、それともキャラクターに色っぽさを感じているのか、自分でもよくわからないままに、何度も読み返してしまいます。

 今月10日に発売予定のコミック『この世 異聞』(リブレ/ビーボーイコミックス)も、これだけを目当てに「マガジンBE×BOY」を買っていたくらい好きな作品です。こちらも、「セツさん、カッコいいvv 色っぽい〜vvv」と思いながらも、「私が好きなのは昭のほうだし」という、どこに好きポイントがあるんだかよくわからないままに、ドップリハマってしまいました。
 雑誌で第1話以外網羅しているにもかかわらず、今、いちばん発売が楽しみなコミックですv


『探偵青猫』本仁戻(芳文社/花音コミックス)
 本日、第5巻を手に入れたばかり。大好きな鶯のエピソード「うぐいす」が収録されていたので、我が手に鶯を捕えた気分です(いや、彼は早乙女伯爵と猫さんのモノですけどもさ)。
 本仁氏の作品を手に取って思うのは、「これは萌えでも、耽美でもない」ということ。萌えのように、本能にクるわけではない。耽美のように、物語に耽溺できるわけでもない。ではなにかと言えば、表現する言葉がなかったりします。
 まずキャラクターがひじょうにクールなんですね。BL作品にありがちな「常識と本能の間で揺れる」とか、「愛する人の心がわからない懊悩」とかが、キャラクターの言動に露になることはまずありません。登場人物ひとりひとりが自分の役回りや分を心得ていて、そこから決して逸脱しないクールさを感じます。
 個々のキャラクターは自身の役割や存在意義を自負していますが、キャラクターどうしは一層に横並びでいるのではなく、多層に点在しています。だから彼らは、他のキャラクターとの間合いを測り、自分への感情を探るために言葉を発します。自分の本音はできるだけ隠しつつ、相手のことを探ろうとする言葉は、理性的でエレガント。答える側もまた、本音を隠して、探るようなセリフを紡ぎ出します。結果的に、登場人物たちの会話は、ゲームのように緊張感を伴い、短歌の応酬のように理知的に完成されたものになります。
 理性的に計算され、緻密に構築された世界と人間関係。破綻しない感情表現。音楽のような旋律をもつ会話。本仁氏の作品世界は、この方にしか描きえない哲学のようなものを秘めているなあと、読み返すたびに思います。作品が完成に至るまでの、痛いほど張りつめた緊迫感をも感じながら。……思い過ごしかもしれませんけれど。

 で、ミキティの言動にキュンキュンvしてしまう『DOG STYLE』第2巻(リブレ/スーパービーボーイコミックス )も今月10日ごろ発売ですね。うん、私はミキティが好きなのですv 理解して、赦して、受け流して、でも我は強い。そんな男が好きなのかもしれません。

 これらにプラス、以前に書きました『夢の子供』浜田翔子(朝日ソノラマ/ソノラマ漫画文庫)と、『幻月楼奇譚』今市子(徳間書店/キャラコミックス)、やはり今氏の『楽園まであともうちょっと』(芳文社/花音コミックス)ほか一連のBLもの、『是-ZE-』志水ゆき(新書館/ディアプラスコミックス)、『暗夜』篠原烏童(徳間書店/キャラコミックス)ほか香港ロマン・ノワールシリーズが、今のところの私の一押しBLです。
 そのなかで『未来の記憶』&『風の行方』と『探偵青猫』&『DOG STYLE』、『是-ZE-』は、同じ方にお薦めいただいたものv いい出会いをつくっていただきましたvv ありがとうございますv

06.10.24 Tue. そうだ、河口湖に行こう!「未練旅」 11.14 23:28
 やはり6:00ごろに目が覚めて、二人で展望大浴場へ。湯に浸かりながら外を見やれば、強い風にどんどん流されていく灰色の雲の間から、ときどき青空が覗きます。雲の隙間からこぼれた朝の薄い光がたくさんの「天使の階段」を湖上に下ろしています。そして、そのあたりに富士山があるであろう場所にはうっすらと青い影のような気配が! なに、その思わせぶりなありさま! そこまで木花咲耶姫ってシャイな神様でしたか!?

 「今日こそは(富士山が)見えるといいね」と言いながら、お食事処へ。本日は豆乳鍋に、ミニオムレツ&サラダ、アジの開きの焼き物、納豆、みそ汁、ご飯などなど、ヘルシーで美味しいものばかり。お漬け物も塩かげんが薄めで、私にはちょうどv 夕べ飲んだ甘いワインが残っていましたが、納豆以外は完食! 友人は納豆もぺろっと食べていました。関西人なのに、なぜ食べられるんだ!? 知り合って20年以上になりますが、あなたが納豆食べられるとは知らなかったよ!

 9:00前にチェックアウトのため、フロントに下りました。旅館に出入りするたび、夕食・朝食のたびに「今日も富士山は見えませんでした」とボヤいたからか、フロントの女将さんが「富士山が見られなくて残念でしたね」と言葉をかけてくださいました。「これに懲りずに、今度こそ富士山を見にいらしてくださいね」と言われ、「もちろんです。リベンジに来ます!」と力をこめて答えました(笑)。
 あとでお宿の明細書を見たのですが、部屋代、最初にもらった見積もりよりお安くしていただいていたのですよね。もしかしたら富士山が見えなかった分、サービスしていただいたのかしらと思ったり(これはお宿に確認しておこうと思います)。もしそういうお心づかいをいただいていたなら、本当にうれしいかぎりですv

 私は長らく貧乏旅行を続けてきたせいか、国内でそこそこのグレードの温泉宿に泊るとき、どうしてもチェックが厳しくなります。出した宿泊費分の元は充分とれたと思えるくらいのサービスを求めてしまうのです。ですから、掃除の行き届いていない部屋(真夏にトイレの汚物入れを掃除していなかった九州・島原の宿)とか、最低限のマナーが守られていないサービス(部屋出しの夕食の片づけにガチャガチャやかましい音を立てる静岡・熱海の宿)とか、もう気になる、気になる。今まで泊った国内の宿で満点をつけたところのほうが少ないんじゃというくらいです。またこれが、メンバーに男性が加わっていると不快な思いをすることが少ないってところも腹が立つんですよね。女性の旅行者をいまだに軽んじている旅館のなんと多いことか!
 ちなみに外国の宿を礼讃しているわけではないですよ。外国では、長期滞在用の施設や下宿以外は安宿(B&B)にしか泊ったことがないので、はなっからサービスを期待していないだけ。

 なので、今回お世話になった「湖風の宿 あさふじ」は珍しくお部屋、お料理、サービスといろいろな面で満足したお宿でした。
 たとえば、子ども連れの団体さんとは、お食事処の和室を壁で仕切って分けてくれていたり。夕食のとき、お酒などオプションの料金表が用意してあったり。仲居さんたちがほどよい親しさで声をかけてくださったり。1日目は布団が敷かれるのが遅かった(2日目は夕食に出ている間に敷かれていた)のですが、担当の方が丁寧に謝ってくださったり。そのお心づかいが、私が「こうだったら」と思うところにぴたっぴたっとハマるのです。
 チェックアウトのときには、富士五合目登山記念にもらえるらしい「開運招福の鈴」をいただきました。富士山が見えたなら、2日目は「ご来光号」で五合目まで行くつもりでしたから、これもちょっとうれしいサービスでしたv
 「湖風の宿 あさふじ」のサイトはこちらです。

 宿の方に車で河口湖駅まで送っていただき(乗り込むときに、思いっきり車の天井に頭をぶつけたりしましたが。「リベンジ」なんて言ったので、お山の祟りですか!?)、コインロッカーに荷物を預けて、昨日行き損ねた「河口湖ミューズ館」へ。
 ここは、人形作家・与勇輝の作品を常設展示しています。もう何年も前になりますが、大阪だったかで展覧会があったおり、テレビで展覧会の紹介を見て「行きたいな」と思いつつ行けなかった因縁があり、このたびは絶対に見てみたかったのでした。

 この方の人形は、表情や仕種がほんとうに自然。特に子どもを造型したシリーズは、ひと昔前の素朴な子どものありさまが表現されていて、思わず笑みが浮かびます。
 ポーズは一瞬の動きを捉えたものが多く、「支えもなく、よく立っているなあ」と感心していますと、与氏の言葉として「立たないということは、人形として生きていない」と書かれていました。「特殊な体型やポーズは別として、デッサンをしっかりとして丈夫につくれば、力学的にも人間と同じように立つ」のだそうです。
 野生に棲む動物にとって、生まれ落ちてすぐに立てるかどうかは生死の境を意味します。また人間が「自立する」ことの意味は大きいです。人間を模した人形もまた立つことで生きるのかと思えば、なかなかに考えさせられる展示でした。
 与氏の人形は河口湖のシンボルにもなっているようで、河口湖駅の観光案内所の屋根には与氏が造形した、『ニングル』のチュチュの巨大な像が座っています。
 ミュージアムショップで、人形写真集『与勇輝の世界』とチュチュの携帯ストラップを購入。カフェでカモミールティーとチェリーパイでひと息つきました。

 雲間から光が薄く射したり陰ったりするなか、八木崎公園のハーブ花壇(季節柄、花はない)を見ながら歩き、そのまま湖畔へ出て「河口湖ハーブ館」へ。着く直前にバケツをひっくり返したような雨が降り始め、雨宿りの屋根を求めて「ハーブ館」に駆け込みました。
 ドライフラワーやポプリを使ったクラフト教室もあるようですが、感じとしてはハーブグッズを中心としたお土産屋さん。ご当地キティとか、ほうとうセットとか、土産用菓子、絵葉書やキーホルダーなども販売しています。駅へ戻るバスの時間まで、店内をウロウロしました。
 ティールーム「香りの散歩道」ではハーブティーやラベンダーアイスクリームが味わえるようですが、そこまでの時間がなかったので入らずじまい。ちょっと心残り。

 河口湖駅のカフェで「『美味しんぼ』にも登場した農家のお米でつくったおにぎり」の甲州名産しじみワイン煮入り(一ケ250円)を購入して、三島駅行きのバスに乗車。行きとは逆に富士急ハイランド、富士吉田駅、忍野八海、山中湖、須走を通って御殿場経由三島駅へ。途中、雨が上がった車窓から富士山の影(それも麓の一部)が一瞬見えました(苦笑)。最初から最後までシャイな富士山でした。

 三島駅で名残りを惜しむ間もなく、西と東に向かう新幹線に乗車。友人から「浜松過ぎたら、超いい天気!」とメールあり。私のほうは東京に着いたら、きっちり雨が降ってました。私かっ! 私の日ごろの行いが悪かったのかっ!!

 「河口湖を眼前に、背後に富士山を見る」という旅の第一の目的は完璧に果たせませんでしたが、私には実りの多い旅でした。
 微妙に曇っていたせいで、快晴のときよりも妙に空気の濃い樹海を見られたような気がします(これは、11月8日のリベンジの旅の際に、振り返って感じたことですが)。
 またおそらく快晴で富士山が見られていれば、紅葉台に登ったり、五合目に行ったりで、美術館やオルゴールの森を回る時間はなかったのではと思います。実は、観光地にありがちな、あまりテーマのない所蔵品を中途半端に展示した小規模文化館という先入観があったもので、美術館には期待していなかったのです。ところが、「木の花美術館」も「久保田一竹美術館」も「ミューズ館」も「オルゴールの森」も、それぞれがきちんとテーマをもったうえで、一流のコレクションをきちんと見せてくれたことに感心もし、感動もしました。
 「木の花美術館」ではダヤンの世界に没頭し、それまでは「変わったねこのグッズがあるな」くらいの関心しかなかったのに、すっかりハマって『愛蔵版 ダヤンとわちふぃーるど物語』や『ダヤンとタシルの王子』などの長編作品やコレクションブック、グッズにまで手を出す始末。
 「久保田一竹美術館」では、あまりの派手さと、着ることを目的とした「着物」なのか、飾るだけの「芸術」なのかが判然としないスタンスに、いい印象をもっていなかった辻が花染について、実用か観賞用かなどという意義を超えた「技の粋」に開眼しました。たしかにこの技法でないと表現できない「効果」があるのですね。
 「ミューズ館」では、長年の夢だった与勇輝の人形を目の当たりにすることができました。そして、写真やテレビの映像で見るのではない、三次元で見たときの、その絶妙なバランスにいちだんと引き込まれました。
 「オルゴールの森」では、歴史を秘めたミュージックボックスや、オートマタ(自動人形)つきのミュージックボックスの音や動きを実際に味わえたうえ、チェコのクァルテットやアルプホルンの生演奏も楽しむことができました。
 思いがけないところで一気に高度な芸術鑑賞を堪能することができ、乾いていた感性が豊潤な水分を得て、ぴくぴく活性化しました。その潤いかげんに「なんだかすごい体験をしたなあ」と思います。

 河口湖と樹海には、今後、ことあるごとに出かけてしまいそうな、そんな予感がします。
「青木ヶ原樹海ネイチャーガイドツアー」のサイトはこちら
「河口湖木の花美術館」のサイトはこちら
「久保田一竹美術館」のサイトはこちら
「UKAI河口湖オルゴールの森」のサイトはこちら
「河口湖ミューズ館」のサイトはこちら

 PCをiMac OS-Xに変えたら、デジカメ画像をアップしたいと思いますv(今までblogに上げてきた写真はすべて携帯で撮ったものです)。

06.10.23 Mon. そうだ、河口湖に行こう!「雨の湖畔散策」 11.14 22:53
 「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」どころか、雨は夜更け過ぎに大嵐となり、びゅうびゅうばしばしばしと外壁に叩き付けられる雨の音で目が覚めた、河口湖2日目。
 6:00に友人と二人で展望大浴場へ行けば、貸し切り状態の贅沢。雨の上がりかけた河口湖は、ついさっきまで吹き荒れていた嵐がウソのように、うすぼんやりとした朝の光を受けて静かな湖面を見せています。風に少しずつでも吹き流されていく雨雲を見れば、日中はひと目なりとも木花咲耶姫(富士山)のお姿も拝見できようかと期待がいやまします。
 朝食はほかほかのご飯に、まぐろのとろやほのあたたかい紅鮭の切り身を乗せて。湯豆腐も、みそ汁も、なにもかもがヘルシーで美味しいv しっかり二膳飯、いただきました!

 宿の方が「今日はどちらまで行かれますか? 車でお送りしますよ」と言ってくださったので、お言葉に甘えて「河口湖木の花美術館」まで送ってもらいましたv
 ここは「猫のダヤン」の絵本でおなじみ、池田あきこのダヤンとわちふぃーるど世界の原画やパノラマを展示している美術館です。
 美術館本体は、絵本に描かれた「タシールエニット博物館」を模した建物で、それほど広くないように思えたのですが、観ていけば、けっこうなボリュームあり。どれもこれも、かわいいダヤンやユニークな仲間たちが微笑ましいイラストばかりで、すっかり時間が経つのを忘れてしまいました。「わちふぃーるど」の立体造形や、池田あきこの仕事場の再現のコーナーもあって、ファンなら1日中いたくなるような空間です。
 ミュージアムショップで、私は本とダヤンの形の携帯クリーナーを、友人はペットボトルカバーとやはり携帯クリーナーを購入。携帯クリーナーは、ショップのお姉さんが「これはこの美術館で作っているんですよ。ほら、作った人によってダヤンの顔がぜんぜん違うでしょ」と勧めてくれたもの。友人と「このダヤンの顔がいちばん“らしい”」「や、でもこっちの目のタテぐあいも捨て難い(目のアップリケがほとんどタテに貼られている)」「こっちはかわいいけど、ダヤンはかわいいだけじゃないから」などと、さんざん迷って「私のダヤン」を決めました(笑)。
 レストランカフェ「オルソンさんのイチゴ」に後ろ髪引かれながら、次のポイントを目指します。

 途中で「オルソンさんのイチゴ」用のイチゴを栽培している「オルソンさんのイチゴ畑」を遠目に眺め、まだ青葉の紅葉回廊(10月27日からの「紅葉まつり」でライトアップされる)を抜けて、「久保田一竹美術館」へ。
 ここは友人の希望で訪れたのですが、まず入口が奇抜! 東南アジアのジャングルに埋もれた遺跡の扉のような入口をくぐると、そこは緑濃く、水音さやけき日本庭園。細い道を辿っていくと、富士山の溶岩洞穴のような重々しい建物が。ここには受付、ミュージアムショップ、カフェ、古くて貴重な蜻蛉玉をコレクションしたギャラリーがあります。
 一度外へ出ると、樹海の溶岩のように、白く平らな岩を層をなして積み上げたような、まるで野外舞台のような空間と、さらにそのうえに美術館の本館が。
 館内に一歩足を踏み入れたとたん、眼前に広がるめくるめく色彩の世界。そう、久保田一竹とは、室町時代に栄えた縫締紋の紋様染「辻が花染」を現代に甦らせた人で、その作品は着物というよりアート。10枚もの着物でつくりあげられた湖と山々の風景は、季節のうつろいまでが生地の上に表現されています。燃え盛るマグマの勢いに似た「宇宙」を描いた連作、「富士山」のさまざまな表情を写し取った連作、それに静けさを描いたもの、古来からの紋を描いたものなどなど。「描きたい」「表現したい」と思ったものを、その心の赴くままにつくりあげていかれたのであろう奔放さが空間に踊っていました。
 ここでも茶房「一竹庵」に心引かれながら、ぐっと我慢。次のポイントに向かいます。

 さてさて本日のメインイベントは「UKAI河口湖オルゴールの森」。行く前は立ち寄り程度のつもりだったのですが、宿の方曰く「オルゴールの森は1日、充分遊べますよ。レストランの料理も評判です」とのことで、腰を据えて見学することに。ランチをここのレストランでいただくために、ミュージアムカフェの誘惑を我慢してきたのでした。
 時間はすでに13:20。エントランスに入るなり、「世界最大規模自動ダンスオルガン」の演奏が始まりました。一面の壁いっぱいに設えられた本体と、細長いホールの壁際に飾られた人形たちがいっせいに「クワイ河マーチ」を奏でます。管楽器やパーカッションの中に弦楽器の音も混じって、さながらフルオーケストラの迫力。もちろん機械的な演奏ではありましたが、充分聞き応えがありました。
 このダンスオルガンは毎時30分に違う曲を演奏するそうです。

 次にミュージアム2階のメインホールで、「自動演奏楽器と弦楽四重奏のコンサート」を。なんとバンジョーサウンドの自動楽器の演奏を聞くことができました。機械が、内臓された4つの楽器の弦を繊細な動きでつまびいたり、叩いたりして操るようすが、まさに職人技。鍵盤が勝手に動いて曲を奏でる「自動ピアノ」の演奏のあとには、なんとチェコから来日中のクァルテットの生演奏が。バイオリンを弾くお姉さんがとっても美人で、見蕩れてしまいましたv 曲はドヴォルザークの「新世界から」よりラルゴとほかもう1曲。東欧の弦楽器の音は、西欧の音とは違って素朴でやわらかく、その質感をもった響きには琥珀のまろやかさを感じます。
 こちらも毎時30分の演奏で、その度に違う自動演奏楽器が違う曲を奏でます。
 2回目に訪れたときは、「タイタニック号のために作られたが、完成が出港に間に合わず、結果として命拾いしたパイプオルガンサウンドの自動演奏楽器」の演奏でした。この自動演奏楽器が間に合わなかったがために、楽団が急きょタイタニック号に乗船することになったのだとか。沈没直前まで演奏を続けた楽団員たちには、こんなエピソードがあったのでした。生演奏も2回目はドヴォルザークの「新世界から」よりアレグロと「トルコ行進曲」に曲目が変わっていました。

 “森”の一角にあるレストラン・リバージュで、ようやくランチ! ちょうど「スイスフェア」開催中ということで、チーズソースを主体にしたソーセージ料理などがメニューに並びます。私はアイスバイン(豚の骨付きすね肉を塩ゆでしたもの)と地ビールである富士桜高原麦酒の薫煙ビール・ラオホを、友人はバイス・ブルストソーセージと富士桜高原麦酒のヴァイツェンを注文。料理とほかほかの焼きたてパンは、卓上ランプで熱せられ、クリーム状になっているチーズソースをかけながらいただきました。
 食べているときはそうでもなかったのですが、食べ終えてしばらくすると、お腹いっぱい感がむくむくと。やはりチーズソースはボリュームがありますね。「空腹で来てよかった」ということで、カフェの誘惑に負けなかった私たちの勝ち!(笑)

 ランチのあとは、湖が見える小さな教会前で、やはり「スイスフェア」の一環である、スイスから招聘したアルプホルンの演奏者3人による「アルプホルンの響」を聞きました。あの長くて大きなアルプホルンを吹くには、肺活量がすごくないとダメなんだろうなあとしみじみ。1日に何度も吹くからでしょうか。おじさんたちの1人がちょっとしんどそうでした。

 ミュージアムショップで携帯ストラップを買って、レトロバスに乗車。最後は、今日で期限が切れるアール・クーポンを消化するために遊覧船へ。まだ16:00だというのに早くも夕闇が迫っているうえ、雲も湖を覆い隠すように垂れ込めて、どうにも湖上遊覧には向きませんが、いたしかたなし。小さな子ども二人を連れたご夫婦と私たち二人の、ちょっと侘びしい旅です(笑)。
 それでも風で雲が蠢く空、どんどん夕闇に支配されていく湖の景色、みるみるうちに黒い影と変わっていく山々……湖面を薄い光と闇がうつろう妖しさは、こんなタイミングでないと見られないものだろうと思いました。
 甲板に出て湖を眺めていたものの、折り返して港に戻ろうというころにバタバタと雨が降ってきたので船内へ。
 このあと、ロープウェイも制覇しようと乗り場へ行きましたが、営業時間内のはずなのに「本日営業終了」の札が orz。営業終了時間まで、あと5分はあったのに……。ま、かろうじて山上に上がったとしても、時間内に下りて来れませんわね。

 かなり負け気分で、ザンザンと雨の降る中、傘をさしても濡れネズミ〜な状態で宿へ。部屋の窓から暗く横たわる河口湖を見下ろしながら、「やっぱり今日も富士山、見えなかったね」と深々と溜息。
 しかし濡れて冷えた身体を温泉で温め、連泊なのに新しく整えられた浴衣や湯上がり足袋をはいて(お宿のこういう気遣いがほんとにうれしいv)、夕食をいただくころには、気分も復活してきました。
 1日目とは違って、自家製梅酒の食前酒に、稲穂や栗、たたみいわしなど季節の先付け、サザエの直火焼き(皿の上で炎が燃えているのです。身が食べやすい大きさに切ってあったのがうれしいv)のほか、焼き、蒸し、煮物、天婦羅、刺身などの和懐石に、伊勢海老のテルミドールといった洋皿が出てくるのは、やはりこの宿の流儀のよう。ほうとう鍋もくつくつと、美味しいお料理は幸せのかたちですねv

 本日は部屋に帰ってから、甲州ワインの新酒を開けて四方山話を。ほろほろと話しながら飲むには、ちょっとワインが若くて甘かったのが残念。私たち二人で飲むときには、せめてミディアムボディのドライでないとね。
 2:00ごろに布団に入るなり、また旅館を揺らすような大嵐が。秋雨でこんなに怒濤のように感じるなら、台風シーズンとかどんな感じなんだろうとちょっと怖くなったりして……。

06.10.22 Sun.  そうだ、河口湖に行こう!「樹海探検」 11.14 22:30
 きっかけは、去年から今年の年末年始にやった旅行パンフレットの校正でした。くる日もくる日も、趣向を凝らした温泉、美味しそうな料理、心地よさそうな佇まいの旅館を見ているうちに、どうしても行きたくなったのです。
 なかでも気になったのが、山梨方面のパンフレットにあった「富士山と河口湖を望みながら温泉三昧」と「青木ヶ原樹海のネイチャーガイドツアー」。うずうずしていたところへ、7月に河口湖と青木ヶ原を旅行されたゆきかさまの樹海の写真を見せていただき、「行けたら行こう」は「絶対に行く!」という決意に変わりました。
 9月に実家に帰省したおり、高校からの友人に旅行話を持ちかけ、いよいよ計画発動。
 旅館は富士山と河口湖を見渡せる、富士河口湖温泉郷の浅川温泉街からピックアップ。リーズナブルかつ全室15のきめ細やかなサービスが口コミで人気の「湖風の宿 あさふじ」に決定。富士山と河口湖を見ながら温泉に浸かれる、個室展望風呂がついた客室を選択。うっかり友人の有休が取れる日を勘違いして、22日〜24日の二泊三日で予約するというミスをしでかしましたが、友人が合わせてくれたので(友人の会社の上司も同僚の方もいい人だ〜v)、あとはもう当日を待つだけ。

 そんなわけで、新幹線の始発で関西から来る友人を三島駅で待ち受け、御殿場経由の富士急バスで河口湖を目指しました。「新幹線の窓から富士山、見えなかったよ」という友人の言葉に不吉なものを感じつつバスに揺られること2時間20分。須走から山中湖、忍野八海を経ても、富士山はまーったく見えません。富士急ハイランドからも、そして終点・河口湖駅に着いても、やはり姿を見せてはくれませんでした。
 「いや、でも二泊三日のうちには、ちょっとくらい姿を見せてくれるよv」と言ったりしてはいたのですが、天気予報は本日からどんどん下り坂。はたして不吉な予感は大当たり。来てから帰るまで、私たちは富士山を見ることはかなわなかったのでした……。

 さて、「明日は曇りのち雨」の予報を信じるなら、明日に行く予定だった西湖コウモリ穴&青木ヶ原樹海ネイチャーガイドツアーは今日のうちに済ませておいたほうがいいだろうということで、着いて早々、昼食もとらずに西湖行きのレトロバスに乗り込みました。
 河口湖は、富士五湖のなかでいちばん観光地として行き届いているなあと思います。とくにありがたいのが、行きたいところにダイレクトに行ける交通手段が設定されていること。観光用レトロバスが河口湖周遊ルート(ほぼ1時間に2本)と河口湖-西湖往復ルート(ほぼ1時間に1本)を走っているのです。
 レトロバスに2日間乗り放題の「レトロバス共通フリークーポン」は1000円で、駅窓口やバス車内で買えます。西湖まで片道680円くらいするので、往復すれば元が取れてしまうという、とってもお得なこのクーポン。河口湖観光に必携です。ちなみに私たちはこのレトロバスのクーポンに、河口湖遊覧船(一周900円)とカチカチ山ロープウェイ(往復700円)を加えた「アール・クーポン」(2000円/2日間有効)を購入。メいっぱい河口湖を楽しむ気合い、十分です。

 西湖が見えてくると、山間に平べったい緑の大地が湖に張り出すように現われます。これが青木ヶ原の樹海。その風景の異様さ、存在の異様さはおそらく眼にした人にしかわからないと思います。気味が悪いとかではなく、本来、こんもりとか、うっそうとかいう言葉で表現される森が、平べったいと感じるのが異様なのです。

 西湖コウモリ穴に着いて、まずは事務所でネイチャーガイドツアーに申し込み。レトロバスに乗って来た人は、西湖コウモリ穴周辺のガイドツアーなら予約なし、1人500円で参加できます。
 私たちのほか、若いカップルと4人のおばさま方のグループの8人で、ガイドさんのあとについて樹海に入りました。おどろおどろしげなイメージのある樹海ですが、入ってみれば、おもしろい森でした。「樹海で磁石が狂うのは、溶岩として噴出した玄武岩の上でだけ」(玄武岩から離れれば、磁石は正常な方向を指す)、「樹海の下は土ではなく溶岩なので、木の根は溶岩を潜れず、その上に溜まったわずかな土を辿りながら、横へ横へと根を伸ばしていく。なので、奇妙にねじくれ、栄養不良の細い木が多い」、「倒木が多いのも根をしっかり張れないせいで、倒れた樹木の幹からまた新しい木が生えてくる」、「樹海に入ると身体が冷えるのは、富士山噴火の際にできた地下の溶岩洞穴からの冷気が漂っているから」、「富士山の噴火によって、ひとつの湖が溶岩で3つに分かたれた西湖、精進湖、本栖湖は地下でつながっているらしく、湖面水位の高さは3湖とも同じ900メートルである」などなど、ガイドさんのお話もとっても興味深いもの。
 道々、リスが松ぼっくりを食べた跡だの、虫が植物に擬態したようすだの、いい香りのする木だの、木に止まっているカケスだのを観察しながら、樹海に敷かれた木屑の上をぽくぽく歩いていきます。

 このたび、河口湖と富士山、そして樹海の風景を撮影するために用意していた私の秘密兵器は、コダック社の「二眼デジカメ」こと「デュアルレンズコンパクトデジタルカメラ EasyShare V570」。これは、わずかヨコ95mm×タテ45mm×厚さ20mmのボディに、ウルトラワイド23mmレンズと39mm-117mm光学3倍ズームレンズのふたつのレンズを搭載したもの。有効画素数は500万画素。早い話が、従来のデジカメに比べてレンズ画角が約3倍、パノラマ写真も撮れてしまうというすぐれものなのです。なにより、風景にきちんと奥行きが出るのがすばらしい!
 知り合いのデザイナーさんに「こんなのが出てますよ」と触らせてもらって以来、欲しかった逸品。ようやく東京で唯一の取り扱い店らしいビックカメラ新宿西口店で、それも限定20台のうちの1台をGETしたのでしたv 49,800円の散財は、すべてこの日のためです!

 もちろん、従来の相棒であるミノルタα-7000も持参していましたが、デジカメのコンパクトさに負けました。樹海をバシバシ撮っていると、友人に「めっちゃ楽しそうな顔してる〜」と笑われました。いや、楽しいですよ、ほんと! 同行のおばさま方には「よくこんなところ、写真に撮れるわ」と言われましたが、いや、この奇観はすごいでしょ。おもしろいでしょ。撮らなきゃでしょ。霊の写り込みの可能性より、このなんともいえず生き物の精力と静けさに満ち満ちた魅力的な風景を、記憶にも写真にも残すほうを取ります、私は(笑)。

 30分ほどのツアーを終えて、今度はコウモリ穴の探検にGO! ……はよかったのですが、あんなに天井が低いとは思ってもみませんでした。なんとなく秋吉台の秋芳洞をイメージしていたんですね。いやもう、とんでもない。なぜ入口でヘルメットを渡されたのか、よくよく理解しました。何回、頭を打ったことやら。
 中腰どころかヤンキー座り(古いな)のままずりずりいざらなければならないところ多しで、やがてもっと天井の低い穴に出くわしたときにはネを上げました。「私、もう進まないから! ここでギブアップだから!」と友人に宣言し、順路を逆にいざりだすと、彼女もギブして戻って来ました。天井が身長以上に高い空間に出たところでようやく立ち上がれば、二人とも足が笑ってしまってふ〜らふら。順路を逆に行くうちに、別の通路に行き当たったので入ってみれば、あの天井が超低い穴から延びている順路に合流しました。ナンダ、アンナニクロウシナクテモ、ミチ、ツナガッテタンヤン!
 コウモリがいるという穴まで行きましたが、どうやらお留守のようで1匹もおらず。「コウモリ穴にコウモリを見に来たのに、コウモリがいないとは、これ、なにごと!?」と、かなりショック。消費したスタミナを返せ! でも私たち二人でさえ「うわ、狭っ!」「きゃっ、頭打った」「なに、これ。ここ進むん?」「もうあかん。もう進めん」と姦しかったのに、他にも観光客がいるのですから、洞穴の中はなんとなくわーんとした音が響いています。超音波を聞くコウモリに、このやかましい穴でじっとしておけというのも、ちと酷な話かもしれません。

 コウモリ穴を出たところで、洞穴に入った人に無料で振る舞われるキノコ汁(買う場合は1杯200円)をいただきました。昼食を食べていなかったうえに、洞穴で冷えた身体に熱いみそ汁がありがたく、またいろいろなきのこがたっぷりの具は喉ごしがよくて美味しかったですv

 再びレトロバスに乗って、西湖を半周して河口湖へ。コインロッカーに預けた手回り品を引き取りに駅に戻ってみれば、河口湖周遊のバスのダイヤは終わってました。16:40で終わっちゃうんですよね。早っ!
 宿に連絡すれば、「すぐ迎えに行きます」と言っていただきました。このころから小雨がパラパラ。「明日、もし晴れて富士山が見えたら、紅葉台まで行こう」という計画は、どうやら「雨の場合は河口湖畔の美術館を回ろう」にシフトしたほうがよさそうなもよう。

 宿に着けば、早速お風呂! 展望大浴場へ出かけた友人を見送って、私は部屋の展望風呂へ。だって、せっかくの展望風呂付きの客室ですもん。対岸の建物の光を湖面に映し、雨に煙る河口湖を眺めながら、ゆったりほっこり。
 お食事処での夕食は、レモンの自家製食前酒に、眼にも舌にも美味な先付けから焼き、蒸し、揚げ、酢鉢、煮物に鳥鍋までの豪華な創作懐石料理。ハーブソースのかかった牛肉のたたきという洋風の味つけの皿が混じっているのが、また味の調子が変わって、飽きさせません。
 1日目の夕食だけ、オプションの舟盛りをお願いしたのですが、膳の刺身の皿は代わりに鯛の薄切りに変えてあるなど、行き届いた心づかいがにくいv うれしいvv お互い熱燗1合を楽しみながら、お腹いっぱいいただきました(舟盛りのオプションは多すぎたかなと思いました。オプションなしで、女性のお腹にちょうどいいくらいです)。

 「部屋で飲み直しますかー」と言いながらも、20:00過ぎに布団に沈没。私は前日、原稿を書いていて徹夜。友人も朝が早かった。というわけで、本日は早々に「おやすみなさい」。

06.10.16 Mon.  復帰宣言!?                4:55
 9月の中旬から、ちょっとヤバいかなというエアポケットに落ち込んでいました。とにかく食欲がわかないのです。6月から9月にかけてどんどん食べる量が減ってるなあとは思っていましたが、その間に二度ほど大きな仕事の修羅場があったのと毎年お馴染みの夏バテとで、「まあ、そんなものか」と納得していたのですね。
 しかしながらどんどん悪化するばかりで、ついには1日1食、かろうじて「食べなきゃ」と思うのがやっと。それもコンビニ弁当やスーパーの惣菜はダメで、好物のにぎり寿司なら途中で嫌気がさすことなく8貫食べられますという、「なに、その贅沢病」というありさま。「ご飯を炊こう」とか、「インスタントラーメンつくろう」とか思ったとたん、嫌になって寝てしまうという状態に、「ちと、これはヤバイんでは?」と感じだしたのが、ひと仕事終わった9月半ば。ちょうど「お祖母ちゃんの七回忌の年なのに盆の墓参りできてないんだから、彼岸には墓参りしたら」という実家の勧めに応じて、とりあえず帰省したのでした。……みごとなやせっぷりに、両親にかなり引かれましたが(笑)。

 実家で、私の好物ばかり(刺身、にぎり、玉子焼き、お好み焼き、タコとサトイモの煮物などなどなど地場のもの)、北京ダックかフォアグラ用ガチョウかというくらい食べさせてもらい、なんとなく「おなかが空いた」という感覚が戻ってきました。
 『蟲師』漆原友紀(講談社/アフタヌーンコミックス)の中に、「山抱く衣」(5巻)という話があります。故郷を離れた絵師が、仕事に追われ、故郷を忘れて暮らすうちに、どんどん絵のアイデアが浮かばなくなり、疲弊してしまう。ふと思いついて故郷に戻れば、山崩れで実家も父親も失われ、嫁いだ姉も亡くなっていた。失意のまま故郷に住みついた彼は、やがてその土地の蟲・産土(うぶすな)の力でまた絵を描く力を取り戻すというお話。
 妙にこの「産土」の力が納得できたような……。

 さて、東京に戻ってからつらつら考えるに、「やる気を減退させているのは、資料本1冊探すにも10箱以上のダンボールを上げ下ろし、開け閉めしないと見つからない、この腐海状態の部屋のせいでは?」と思い至り、自宅の大掃除を敢行しました。大きな本棚を1つ、木製ラックを1つ、AVラックを1つ購入。実に2週間をかけて、約5年のうちに形成された腐海を一掃。……したつもりが、まだダンボールタワーがあちらこちらに残っているのはどういうこと!? orz
 いや、床が見えるようになっただけでもスバラシイです(自画自賛)。

 自己診断するに、夏バテと軽い気鬱にかかっていたのかなあと思います。ま、たまにはそういうこともあるでしょう。

 そんなわけで、9月半ばから今日まで長い夏休みをとっていましたが、ここからまたぼちぼちペースを取り戻していきたいと思います。おかげさまで、ここ1週間ほどは「秋渇き」という言葉が恐怖をもって実感できるほど、四六時中「おなか空いたなあ」とモシャモシャ食べるようになりましたしね。今は「お願いですから、持ってる服を買い替えずにすむ程度にしておいてください」と、腹の虫様に祈るばかりです(苦笑)。

<部屋の大掃除完了記念写真>
  本棚

  リビングの床

  机周辺


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