飾り

北イタリアの青い空を見に行こう!
『黒い兄弟』一人旅


〜ミラノ到着編〜

エマニュエルPH ことの起こりは、リザ・テツナーの『黒い兄弟』を日本アニメーションがアニメ化したことでした。それも私が国外にいる時に! パリのリブレリ・ジュンク(オペラ座近くの日本語書籍専門店。淳久堂書店のパリ店)でそれを知り、誓いました。
 「帰国したら絶対ビデオを買う!」
 誓いどおりに帰国してすぐ全話LD BOX(この辺に気合いあり)を購入し、3連徹で見終えた時には新たな決意に燃えていました。
 「ロミオもといジョルジョとアルフレドの見た青い空を見に行く!」
 暴走する妄想は誰にも止められません。計画は着々と進められました。

日程:1997年7月26日〜8月1日
テーマ:1. 『黒い兄弟』の舞台をこの目で見る!!
    2. 12年前に行きそこねたマントヴァに行く!
    3. マントヴァに行くなら、クレモナへも行く!
条件:1. 仕事の都合上、有休は1週間しか取れない(+土・日)
   2. 行き当たりばったりの旅なので、宿は現地調達
   3. ミラノを拠点にする
※ 12年前に2カ月半のヨーロッパ旅行を実施。その時、1カ所に拠点(当時はパリ)を置いて動くと何かと便利だと学習したため、以来、拠点決め旅行しています。
 この利点は、ホテルにスーツケースなどの大きな荷物は預けて、2泊3日くらいならバックパックで出かけられること。また、連泊感覚になるので、拠点のホテルの人と顔なじみになりやすく、何かあったときに助けてもらいやすいこと。その日その日で宿泊地を変える場合、連絡拠点ともなるということでしょうか。10日間からの少し長めの旅行にお薦めです。


 ということで、終わってみたら下記の日程で動いてました。
7月26日 関西国際空港→ミュンヘン→ミラノ(リナーテ空港)
  27日 ミラノ
  28日 ミラノ→ルガーノ→(ベリンツォナ)→ロカルノ→(ドモドッソーラ)→ ストレーザ→ミラノ
  29日 ミラノ→クレモナ→マントヴァ
  30日 マントヴァ
  31日 マントヴァ→ミラノ
8月 1日 ミラノ(リナーテ空港)→ミュンヘン
   2日 →関西国際空港

使用航空:ルフトハンザ航空

ドォーモ
“大きな砂糖菓子”ことミラノの大聖堂<ドォーモ>
 さて、毎度のことながら、前日の夜に荷造りするようなノンキ者。「2時間前には空港へ」の注意もぶっちぎり、45分前に到着。関空はシャトルで搭乗口まで移動しなければならないので、ま〜さ〜にギ〜リギリ!
 ちなみにルフトハンザは、予告なしに定刻の30分前出発とかやってくれるので要注意。出発便が遅れるのはまぁよくあることですが、早くなるのはルフトハンザくらいだと思います。
ドォーモ聖母
あのドォーモの天辺には黄金のマリア像が
ミラノ到着

 ミラノへ着いたのは、午後8時すぎ。まだまだ明るいとはいえ、この時間に町中でのホテル探しはきついと思い、空港のホテル・リザベーションで確保することに。しかし、窓口に一人しかいないおっちゃんたらイタリア語しか話せない!! 私はイタリア語わかりませ〜ん。
空港スタッフくらい英語話せる人雇って〜と心の中で泣きつつ、「ミラノ市内」「駅近く」「今晩1泊」「予算10万リラ(当時約6000円)」と筆談。何度かのメモのやり取りの末、ホテルのリストを渡され、このへんで選べと金額域を指差され、13万リラのホテル・アンドレオーラをGET!
 タクシー代をケチって、リナーテ空港から市内への連絡バスに乗り、適当なところで降りたら「ありゃ、ここはドコ?」状態。
道路名板を探し、地下鉄を探し、路線図を探り、地下鉄に乗って降りて、また道路名板を見ながら住所の道路を探し…着いた時には10時過ぎてました。よろよろ〜。フロントで3泊分に予約しなおし、そのままベッドに直行。「ともかくミラノ、くさってもミラノ。ミラノに来たよん。おやすみなさ〜い」

イタリアの男は、しゃべり好き

 「おやすみなさ〜い」の少し前、まだホテルの所在地をさがしてウロウロしていた時のこと。空港からミラノ市内に着き、ホテルまで地下鉄に乗ろうとしました。しかし、チケットマシンで買うにはコインが足りない。両替したばかりで、財布の中は紙幣ばかりです。
切符売り場の窓口も終業していたので、近くで話し込んでいた駅員に「切符、売って」と頼みました。
財布を出したら、それに結んでいた、鈴の付いたヘビの「お守り」に二人の視線がびしっ!と止まります。
「何だ、それは?」「見せてくれ」「何だ」「いいな」「売らないか」「こいつのところは、家族多いからウケるぞ」「1500でどうだ」「2000は?」「2500は?」「2500以上は出せないぞ」
すでに一人は紙幣2500リラ分、手に持っています。おいおい。
「私のお守り(ガーディアン)だから、売れない」(大体その安さはなんだ←売るつもりなんかい!)
「だから売れないってば」(聞けよ、人の話)
「だから、これはお守りで、人に売るもんじゃないの!」(絶叫)と3回言っておさまりました。
途中で口も挟めないくらい、あっと言う間に盛り上がった割には、まぁ切符は忘れないでくれたので、ホッ。
イタリアの男ってな〜。
これはナンパ!?
夜のスカラ座前「恋愛相談室」


 前日爆睡したおかげか、目覚めは爽快。ホテルから出て見たミラノは快晴!まさに青い空!「ロミオ〜、アルフレド〜♥ この空、この空なのね!」
 市内をあちこち見て歩き、スフォルツェスコ城まで来た時、日本人のおばさま団体に入口をふさがれてしまいました。
仕方がないので脇に寄って入口が空くのを待っていたら、何だか視界に入ってこようとする男が1名。
金髪というより黄土色の直毛、お世辞にもハンサムとはいえない、神経質そうな細い青白い顔。全身ほっそり、胸板も薄い、ひょろんと背だけ高めの25歳くらいの青年。
日本人の団体に圧倒され、同じように引いていた私に同志愛を感じたようです。
 笑いかけてくるのを、「ハロー」とだけ返して無視、無視。
ところが、城に入ってミケランジェロの「ロンダニーニのピエタ」を眺めていると、背後から「これはミケランジェロの最後の作品で…」とか英語で話しかけてきます。
それからは、ずうっと彼を引き連れて城内を見て回る羽目になり、気がつくと「ロベルト(仮名)(笑)」「ナオ(仮名)」状態に(笑)。
路地
路地にて。「スパッツァカミーノ」の声も今は昔

 彼はスフォルツェスコ城へは何度も来たそうで、「ミラノはもっといいところあるんだ。他へ行こう、案内する」と言います。私は初めてだと言っても、聞きゃあしない。
いずれどこに行っても、私には初めての風景。ま、いいかと城を出ました。主に公園を連れ回され(広いわ〜暑いわ〜)すっかりくたくた。ベンチに座り込んで「もう歩けないよ」とダダこねモードに。
すると「夜食でもどう?」とお誘いが。
その前に行くところがあるという彼と別れ、ホテルに戻りました。
湯に足をつけて、疲労回復。麻のパンツをスカートにはきかえ、口紅を直し、私は正直、楽しみにしていたとお思い下さい。
 一人の食事は味気ないものです。グルメ嗜好でもないので、一人旅でレストランに入ることは滅多にありません。せいぜいファストフードかカンティーン、あるいはスーパーで買ってホテルで食べるかです。味気ないことこの上なしですが、それ以上に「気軽さ」が何物にも代えがたく、結局一人旅を選ぶんですけどね。


 待ち合せは大聖堂、かのドォーモ前。夏のミラノは午後7時を過ぎても明るくて、でも昼間の暑さはおさまって、ふらふらするのにちょうどいい時間です。
考えることは世界共通なのか、日中はそうでもなかった広場は、人でごった返しています。
それでも迷うことなく再会できて、「さぁ、どこに連れていってくれるの?」とワクワク。すると彼はドォーモ近くの、いかにもチェーン店な総菜屋の2階に上がって行きます。
テーブルは、様々な人種、カップルやファミリーやらで満席。ワイワイとにぎやかな、マクド○ルド風のなんて開放感あふれる店内(微苦笑)。カンティーンとファストフード店を足して2で割ったような感じです。
ガラスケースに並んだ料理を、それぞれセルフでトレイにとって、レジで払って、ようよう確保した席に着きました。
ロベルトと向き合って、トマト&バジル・ピザのディナーの始まりです。
彼は、ライスにキノコとチキンのホワイトシチューを混ぜて、もう一度煮なおしたようなモノを食べ、「まずい」と一言。なら選ぶな、現地人のくせに。
「ナオ、食べる?」と皿を回してきた時には、さすがに「まずいもの、食べさせるの?」とチクリ。
「ボクには合わないけど、あなたなら食べられるかも」「No, thank you.」「……」
結局、彼が根性で2/3まで食べました。
スカラ座前
スカラ座前のビル…工事の囲いもイタリア〜ン
 もうちょっとそれなりのディナーを期待していたので、がっかり。ま、でも変に緊張したり、貸し借り考えずにすんでいいかと思いなおしつつ、夜のドォーモ界隈を散策しました。
もう周囲は、濃紺の暗がりが広がっています。それでも表情がわかる程度には明るい、夏の宵です。
スカラ座前の広場まで来た時、彼が道の植え込みの囲みに座ろうと言い出します。
近くには、同じように座ってべったべたにイチャついてるカップルが何組も…。
ロベルトといることより、周りのカップルの方が気になったのですが、彼は返事も聞かずさっさと座っている…。
で、まぁ隣に座ったのです。まさか、それから妙な経験をするとも知らずに――(お昼のドラマ風)。

 ロベルトとは何者か? これまでの会話でわかったことは、まず両親は離婚。父上はミラノのスカイスクレーパー内の会社に勤めており、母上はミラノ郊外に住んでいます。
彼はパリのソルボンヌ大学の工学部に在学中で、夏休みにイタリアへ帰ってきたところ。
以下の話には、この予備知識が必要です。

 しばらく黙り込んでいた彼は、おもむろに話しだしました。
 「あなたになら話せると思うから、聞いてほしいんだ。僕の両親は離婚してる、って言ったよね。
で、僕は母に引き取られたんだけど、母の実家はカトリックの司祭なんだ。どう思う?
僕はずっと貞節とか純潔とか言い聞かされて育ったんだ。結婚は重要なことだと思ってる。
両親が別れたのはちゃんと理由があったんだけど、僕はショックだった。
どうしてそんなことができるんだろう。
この辺のカップルもそうだ。どうしてこんなに簡単に相手を見つけられるんだろう。
僕は一生に一度の結婚を間違えたくないから、相手には慎重になるよ。でも、知り合えない。
僕がこの人と思う女性がいないんだ。どうしてだと思う? ナオなら答えてくれると思う」
 答えられないっつーの!!
 何が悲しくて、月も明るいミラノの紺青の夜に、スカラ座の前で「恋愛相談室」を開かにゃならんのか?
 イタリアの男って、いきなりこんなふうに「語る」モノなわけ? あぁそういえばアルフレドも語ってたっけ!? でもロミオと知り合って大分経ってからだぞ。
 私が何と答えたのか、は書きません。だって忘れましたもん。
言うだけ言ってサッパリしたらしい彼に「明日、母の家に一緒に行かない?」と誘われましたが、丁重にお断りしたことは覚えています(笑)。



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