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ニューヨーク カウントダウンツアー
〜ブルックリン 吹雪で遭難!?〜

ロックフェラー
ロックフェラーセンターのクリスマス・デコ
 とにかく2000年はイロイロあったわけです。どん底気分から“厄落とし”を考えた時、「ニューヨークでカウントダウン」と閃きました。閃いたら最後です。もう実行に移すまで止まりません。まずは友人に電話。ホテル代をシェアするため、ラスベガス旅行を計画していた彼女の行き先を、無理にニューヨークに変更させました(鬼畜)。
 今回は飛行機もホテルを取るのもやっとの状態。旅行代理店とNY在住の友人、インターネットとFAXを駆使しての計画となりました。

日程:2000年12月24日〜2001年1月3日
12月 24日 関西国際空港→シカゴ→ニューヨーク(ニューアーク空港)
    25日 ニューヨーク
26日〜27日 ボストン
28日〜    ニューヨーク
 1月  2日 ニューヨーク(ニューアーク空港)→ダラス
    3日 →成田空港→羽田空港→関西国際空港

使用航空:日本航空+アメリカン航空
 相変わらず私の旅は“無事”にすみません。1週間ほどの滞在中に起こったことをざっと挙げてみますと、
 1. ニューヨーク コーヒーメーカーはあるのにコ−ヒ−粉のない、ヒルトン・ニューヨークの謎
 2. ボストン 鳴り響く火災報知器!消防車登場! びっくり、ホテルで火事騒ぎ
 3. ボストン 「眺めのいい部屋」とトイレ詰り&風呂詰りの関係
 4. ボストン ハーバード大学スクエアで交通事故目撃!─石油ローリーVSイエローキャブの仁義なき戦い
 5. ニューヨーク セントラルパーク前、裏窓ホテル、水もれ付
 6. ニューヨーク ブルックリン橋を見るまで死ぬな! The River Cafeへ吹雪の決死行
 7. ニューヨーク タイムリミット20分!タイムズ・スクエアからマジソン・スクエア・ガーデンへ走れ
 8. ニューヨーク ブロードウェイで接近遭遇!タキシード姿のモハメド・アリ
 9. ニューヨーク 零下10度の恐怖 ハドソン川サークル・クルーズ
 10.  ニューヨーク Macy's ニューイヤーバーゲンのTax(消費税8.25%)は込みか否か?
などなど、今思い返しても「あらぁ〜」なエピソードがいっぱい。
 特に吹雪と火事と事故はシャレにならないところでした。

 ニューヨークの当時の最高気温は5度、最低気温は零下5度。
 12月30日には大寒波に見舞われ、起きたら積雪30・。ピーク時には毎分積雪2・の吹雪が吹き荒れました。
 瀬戸内海の温暖な気候に慣れ親しんだ身には、街中でいきなりホワイトアウトしてしまう、なんて体験は初めて。視界一面真っ白、雪片だけが灰色の影にように飛び込んできます。ニューヨークで雪山?遭難というのも情けない話ですが、スケジュールに余裕のない観光客のこと。せめてランチの予約を入れてあったレストランThe River Cafeまでと、必死で雪中行軍しました。
 そのかいあって、おいしい料理とワイン、大満足のサービスにありつけました。
 ブルックリン橋たもとのRiver Cafeはすでに観光客に有名ですが、私も一押しします!雪の中、予約時間を大幅に遅れた我々を暖かく迎えてくれた上、暖かいお茶を無料サービスしてくれました。ワインリストでも安いランクの、ロングアイランド産のワインを頼んだら、馬鹿にせず「いいセレクトだ」と褒めてくれましたし。適度のサービスが気持ちのよいお店です。
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 では、お寒いお話を一席。

 12月30日、前日に立てたこの日のスケジュールは完璧。ニューヨークのヴィレッジ在住の友人とグランド・セントラル駅で待ち合わせ。“ブルックリン橋の向こうにマンハッタンのスカイラインが広がる絵のような風景を食事しながら楽しめる”観光客やお洒落なニューヨーカー御用達のThe River Cafeを12時に予約(夜は満席ですって)。16時にサークル・クルーズでハドソン川から夕暮れから夜のマンハッタン全景を観賞。
 摩天楼の風景を愛でる1日になるはずでした。

 「暑い、暑い〜」目が覚めたのは7時。そうでなくても暖房効きすぎ、その上ひとつのダブルベッドを友人とシェアしているので常々暑いのですが、今朝はものすごく暑い。8時まで寝ているつもりでしたが二度寝もできず、友人と1階の食堂へ降りました。
 パンとコーヒーの簡単な朝食をとっていると、別のテーブルのおじさんが「すごい雪だね」と。
「え、そうなの?」「何だ、まだ見てないのか」
ホテルの玄関から外を見れば、一面白の世界。目の前のセントラルパークも真っ白です。
 そういえば、北海道って壁一枚外は凍死必至の極寒なのでつい室内を暑くしてしまうと聞いたけど、本日の部屋の暑さはそんな不安から?
 ニュースでは、この冬一番の寒波が来襲。一夜にして積もった雪のため、J・F・ケネディ、ラガーディア、ニューアークの各空港が閉鎖。毎分積雪2センチの吹雪に、交通機関も乱れているとか。
こういう日は屋内にいるべきでしょう。なにせ毎年300人の凍死者を出すニューヨークの“大寒波”です。しかし私たちは観光客。1日が惜しい。

 8時、ヴィレッジの友人から電話が入りました。
「雪で人通りがなくて、怖くて家から出られないのよ」「わかった。こちらは二人だから、家の近くまで行くよ」「じゃ10時30分にアスター・プレイス駅で」

 8時過ぎ、ホテルから出た私たち二人を待っていたのは、ビル風に煽られて狂ったように吹き荒れる雪。いつもならアベニューやストリートの果てまで見渡せる摩天楼のビル群が、今日は白いスクリーンに覆われたよう。1ブロック先の建物群がすでに見えません。
 とりあえず地下鉄でグランド・セントラル駅へ。『恋におちて』など映画にも登場したこの駅は、ドーム型天井に黄道12宮が描かれ、1913年建築の造形が大変美しいのです。 ※31日に再び訪れたら、音楽に合わせてレ−ザ−光線が星座の天井に模様を次々と描くようなイベントをやっていました。駅構内にある「オイスター・バー」は安くて美味しいと評判ですが、1月2日までお休みで食べられず、無念。
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 10時30分、アスター・プレイス。ここの駅の壁にはビーバーの浮き彫りのあるタイルが張ってあります。理由は不明ですが…。ここから地下鉄でマンハッタンを出て、イースト川を越え、ブルックリン側へ渡ります。

 11時、地下鉄の駅から出口の見当をつけて地上へ。店はブルックリン橋のたもとにあるそう。けれど目標となるはずの橋が見えません。30・に積もった雪を踏み締め10mほど進みますが、どうも違うよう。氷の固まりのような雪がバシバシと降り落ちてくるので、前がはっきり見えず、道路表示も確認できません。
 ヴィレッジの友人が一度来たことがあるというのでまかせきりでしたが、前に来た時はバスを使ったうえに、雪で風景が一致しない、とのこと。私の持っている地図と道の様子も一致せず、地図読みでは負けないと自負していた自分の「地図が読めない」状態に内心あせりがつのります。

 車から雪を落としていた(この降雪状態で意味があるのでしょうか?)おばさんに「The River Cafeはどこ?」と聞くと「知らない」「じゃブルックリン橋はどっちでしょう?」「わからないわ」おいおい。
 仕方がないので、地下鉄駅へUターン。地下への階段に雪が盛り上がり、スニーカーな友人二人はともかく、短ブーツで滑り止めが充分でない私は滑りそう。二人に駅の地図を確認に行ってもらい、外で待つことに。ダウンの入った防水コートにサリサリ音を立てて雪が降り、溶けないまま積もっていきます。だんだん雪だるまになっていく気分…。
 二人が「降りてこい」というので、手すりにしがみつき、足を踏みしめて降ります。が、手すりも凍っていて手袋の手に冷たさが染みとおり、「キーン」。地下道を通って別の出口へ。地上に出た途端、目が眩みました。いきなりホワイトアウト。視界が一面真っ白に光り、何も見えなくなりました。その上、見当をつけた方向には道がない!? 道路の白線や歩道と車道の境も雪の下で、どこを進めば「道の上」なのかがわかりません。
 かろうじて雪を除けてある警察署の駐車場を通り、公園に沿った道(がありそうなところ)を往きます。

 高速の高架下で、ジョギング中のお姉さんに遭遇。道を尋ねるチャンス!止まった拍子にウォークマンを落としたその人は、すまながる私たちに「大丈夫。運動仕様だから頑丈なの」とニッコリ。「あっちだわ」と指差したのは、私たちが来た方向。「あの、私たちそっちから来たのですが…」「あら。ええと、知ってるのよ。ちょっと待ってね」と考えた末、教えてくれました。ちょっと不安…。それにしても、よくこんな日に走ってるもんだ、と感心。
 とりあえず、彼女が教えてくれたとおりに進みます。三人の中では、身長172cmの私が一番歩くのが速いです。ざっくざっく。風雪が真っ向から叩き付け、鼻で息ができません。息を吸うと鼻が凍りそうで痛むため、うつむき加減に手で鼻と口元を覆って、ひたすら口で息をします。顔の向きを変えると、フードが脱げたり、足元が滑ったりするので、ひたすらひたすら歩きました。

 …建物の影に入って振り向くと、二人の姿がありません。
仕方がないので自分の足跡を辿って来た道を戻ると、青年をつかまえて道を聞いています。
「そっちじゃないってさ。この上に橋があるって」この辺でイヤな予感が。これは間違いなく迷うパターンにハマッちゃいましたね…。
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 “この上に橋”が全く現れません。この道が橋に続いていくというのはわかっても、橋自体に着かないのでは意味がありません。また通りかかった人に聞くと、今来た道の斜め45度の道を行け、ですと。何だか大きなブロックをくるりと回っているような感じです。
 雪の上に残された足跡に、痺れていつもの倍の重さになったような足を持ち上げて、はめ込みながら歩きます。新雪の上を踏むとふくらはぎまで埋まるのと、何を踏み抜くかわかりませんから。それでも三人共、膝から下は散々に濡れそぼっています。靴の中にカイロを入れていましたが、濡れて固まってしまい、かえって体温が奪われるよう…。
ブルックリン橋
ブルックリン橋からマンハッタンを見る…けど何も見えませんね
 ハイウェイと何か(ハイウェイか地下鉄?裏側しか見えないのでわからない)が交わる、かなり広い高架下に辿り着きました。ゴウゴウと上を走る車の音はうるさいけれど、ここは風雪も入り込めず、ホっと一息。そう、とにかく息が普通にできるのが嬉しい! 身体の上に積もった雪を払い落とし、靴の裏にへばりついた雪をこそげ落します。その間にヴィレッジの友人が携帯で店に電話を。現在地をいい、店までの道を尋ねますが、たらい回しにされた挙げ句、通る人に聞いてくれとのこと。

 その時ちょうど通りかかった中国人の青年。ビニールで覆われた服をもって、まさにクリーニング店から出てきたところ。
「The River Cafeをご存じですか?」「カフェ?レストラン?レストランを探しているなら、いいところ知ってるよ」
…じゃ〜なくて〜。彼に説明しようとする友人を押し退けて、その頃には、寒さと友人たちの手際にキレかかった私が地図を彼に見せました。
「ほら、ここ。この緑の丸ね。このThe River Cafeに予約を入れてるのだけど、道に迷ったのよ。ここに行くしかないんだけど、わかる?あなた」止めの「Do you understa〜n?(dが消えている)」
“瞬間湯沸かし器”の異名をとる私が、珍しく常温を保った(吹雪に冷やされていたのでしょう)挙げ句、爆発したところにぶつかってしまった青年や、あわれ。でも彼はその地図を見ながら考えてくれ、「こっちだ!案内するよ。ついて来て」
 いい人だ〜と着いていくと、「ここね、この道をとにかくまっすぐ3ブロック行くと、ほら建物が見えるでしょ。あの建物を通り過ぎて裏をね、右に曲がるとあるよ」「わぁ、本当にありがとう!(三人ハモリ)」「3ブロックまで行って、建物を通り過ぎるんだよ!」と、彼は爽やかに去っていきました。

 そこで、雑文堂からのお願いプリーズ。「とにかく、彼の言ったとおりに行くからね。何を言っても聞かないからね。曲がり角ごとに人に聞いたり、『こっちじゃない?』というのはもうナシだからね」子供かい…(笑)。
 居心地のいい高架下から再び吹雪の中へ。とっくに凍気が脳を凍らせて、方向感覚も思考力も失っています。身体はガタガタと震えますが、もう“寒い”とは感じません。足だけが機械のように動いて1ブロック、2ブロック、3ブロック…。そこでまた言い出す一名「右に曲がろうよ」
 「………(いい加減、人を信じようよ)」でもさっきの彼の説明と地図で大体位置関係はわかっていました。多分、大丈夫。「曲がりましょう」曲って歩くと交差する道…探し求めたWater Street。右側にブルックリン橋の橋脚が。左側に行って1番地がThe River Cafeです。
 少し吹雪は弱まったよう。それとも安心感がそう感じさせるのでしょうか。
 到着したと思ったら、入口がわからなかったり、お陰で船着き場へ入り込んだりしましたが、それも着いてしまえばご愛嬌。最初に道聞いたジョギングのお姉さんと、中国人の青年が大正解でした。彼の言ったとおりに来ても、ジャストで店の前に出ましたね。
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リバーカフェ
雪に埋もれた"The River Cafe (リバーカフェ)"
 ハイブロウな店構えに、雪まみれではまずいと思い、ひたすら身体の雪を叩きます。けれど溶けない雪は、びったり繊維にはりついて取れません。諦めて店に入れてもらうと、店内の暖かさで急速解凍。身体もパーシャルには凍っていますが、切られても血が出ないだろう状態からは復活。北海道の室温の暑さは、外から帰って来た時、一気に解凍する効果もあるのかも、とかどーでもいいことを思いました。
 コートを預かってくれる人に「Are you al'right?(大丈夫?)」と言われ、「Ye-s. I'm fine, like a snowman.(雪だるま程度には)」と答えると笑って店内へ送ってくれました。テーブルに案内してくれた人に「Today's a fine day!(ジョークですよん)」と言われ、「Yes. It's a horrible fine day.(ものすごく“いい”日だわ)」と返したり。いつもは正当な答しか返せないのが、安堵からか、考える前にブっとんだ英語が出てくるあたり…。最悪を知れば、人間開き直れる、ということでしょうか?
 これが吹雪の決死行の顛末です。この後も吹雪は続き、店自慢のブルックリン橋とマンハッタンの風景は、灰色の嵐にかき消えておりました。たまに雲が切れて、摩天楼が現れたりはしたのですが。壮観だったのは、橋から除雪車のとばす雪が滝のように落ちてきたシーン。
 そんな寒々しい風景を肴に、ロングアイランド産のワイン・メルロ、キングサーモン、オマールエビ、チキンの最高に美味なデッシュに、最後はチョコレートとポートワイン。ホントは食前酒ですが、デザート酒にしてもいい感じと発見。携帯でサークル・クルーズが雪で欠航とわかったので、12時40分から約2時間、ゆったり至福の時を過ごしました。
 店を出る頃には吹雪は止み、雪のブルックリン橋をカメラで撮りまくりました。喉元過ぎれば、ただの観光客です(笑)。
 それから…ヴィレッジに行ってHappy Hour(バーなどの開店直後はアルコールが安くなります。店によりますが大体16〜17・18時くらい)にビールを飲み、夕闇に染まる雪景色を楽しみ、その晩はヴィレッジの友人の部屋でワインで飲み明かす…予定が、昼間の雪中行軍の疲れか、日が変わる頃には寝てしまってましたね。「うん、ラーメン食べる〜、食べるよ〜、作って〜。うん、まだ飲む、飲む〜(意識なし)」(爆)。まぁ、エキサイティングな1日であったと思います(マル)。ジギルとハイド
ヴィレッジのパブ"Jekill & Hyde (ジキルとハイド)"
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 ご参考までに。地図見当で30分以内に目的地に着けるとわかっている場合、道を聞いたら、まずはそれを信じて歩くのがいいかもです。もし違っていても現在地はわかりますし、消去法で道筋を消していくこともできます。でも不穏なところ、地図では想像できなかったようなところに入ったら、早めに人に聞いてくださいね。
 「迷う」というのは恐いことです。くれぐれも事前に地図にてご検討ください。今回の教訓でした。



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