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小咄
エレクトリック・ショック!
Electric Shock


 ある旅行記に「英国のコンセント」についての疑問がありました。
何気なく書かれていたそれに、びびびっ!と感じてしまったのは、私と「電気」が生死を賭けた間柄にあったからです。

英国コンセントの謎

 まずは疑問から片付けておきましょうか。
「日本からもっていった充電器のイギリス仕様プラグについて。3本ピンがあるうち、1本は黒いプラスチック製のうえ、ホテルのコンセントに入らず、使えなかったのはナゼ?」
 英国のプラグ(ソケット)はすべて3本ピンです。使用電圧は240V。日本は100Vですから、かなりの高電圧です。おかげでポットの湯も、電熱調理器もあっという間に熱くなります。煮物を作る際は要注意です。日本では20分くらいコトコトとが、英国では10分で「わ〜コゲてる!」状態になりかねません。
 この高電圧を支えるためかどうか知りませんが、電化製品のプラグは全部、金属製のごつい3本ピンです。それぞれL(Live)、N(Neutral)、E(Earth)といい、各々コード内の指定された線に接続されています。3本のピンに電流を供給するため、コンセントも四角い形の穴3つが基本です。
 ただ、プラグの金属ピンの形は、四角いの、丸いの、四角と丸の混成など、いろいろあった記憶があります。そのどれもに対応できるよう、コンセントの3つの四角い穴には、内部にそれぞれ金属製の両扉のようなものが付いていて、どんな形のピンにでもきっちり接触する構造だったと思います。

 ここからは、私の推察になるのですが。日本のトランスミッターは100V用のきゃしゃな2ピンプラグ対応。イギリス仕様プラグの3本ピンのうち1本分は不用ということで、プラスチックだったのでしょうか? で、サイズが合わなかったとか? 間抜けすぎる、K○○!
 あるいは、コンセントに問題があったかも、ですね。確かなことは、ホテル内のドライヤーとかのプラグを見てみないとわからないのですが。ホテルのドライヤーは上の1本が丸い金属ピンで、下2本が四角い金属ピンのプラグを使用している場合があります。で、コンセントも上丸、下四角の穴になってる可能性が…。
 なぜ、と尋ねたことはないのですが(気づきもしませんでした)、電化製品の盗難を防ぐためだったりして? ホテルでは逗留客がモノを持って帰らないように、ホテル備え付けの電化製品はオリジナルなプラグにし、それに対応するコンセントにしていた可能性も。「そこまでセコイか、英国人?」という疑念も残るのですが。しかし「自分の物は自分の物、他人の物も自分の物」という人種も確かにいるので、その防護策というのは考えられる線です。


やはり220Vはひと味違う!

 さて電気についての大失敗。それはパリ郊外のサンジェルマン・アン・レイに部屋を借りていた時のこと。
 ある日、洗濯機をかけたまま、別の部屋で書類仕事をしていました。フラットの端と端という位置関係で、私はまさかその間に洗濯機が壊れているなんて気づきもしなかったのです。
 何の気なしに机から顔を上げ、部屋のドアに目をやると、敷き居の辺りが光っている! 何かしらと立っていくと、なんとドアの下の隙間から水が部屋へ入り込んでいたのです。
 あわててドアを開くと、廊下も水浸し。洗濯機の置いてある台所とリビングはすでに水深2?程の洪水に見舞われていました。
「ぎゃあ――――――――!!!」
 一目見てパニックに陥った私は、ちり取りとバケツをもって、とにかく水のかい出しにかかったわけです。
そのうちに、リビングの“ある地帯”に踏み込むと、裸足の足がビリビリして、時には痛みまであり、だんだん皮膚が白く変色していくのに気づきました。しばらく後、床を這う延長コードのコンセントに差し込まれた電話のプラグが水中から現れました。これで感電しているんだと納得した私は、そのままプラグを抜こうとしたわけです、濡れた素手で。はい、つくづく馬鹿です。
 フランスの電圧は220V。キキました。バチッと体が後方へはじかれて、一瞬脳にスパークが走りました。視界は真っ暗。そのまま倒れていれば、たいした笑い話にならなかったのですが。
体の傾きを認識すると同時に「この汚い水のなかに倒れたら、服(ここがポイント)がダメになる!」と、何と踏み留まったのです。
 後で同僚にその話をしたら、「その物欲がこの世に引き止めたんだね」ですと。
 何にしても、感電すると確かに一瞬、息も心臓も止まるということがわかりました。


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 ちなみに、この話にはヤなオチがついています。
 このフラットはある画家さんの持ち物で、リビングからベランダに通じる窓はあまり開けられたことがなかったのです。ベランダに放り出されたがらくたの上には落ち葉が積もり、蜘蛛の巣やら子猫の死骸やらがあって、私も絶対に開けたくない窓でした。
 しかしこの洪水事件で、水を外に出すために開けたのです。
 何かチクチクする感じはしてました。でもそれどころじゃなかったのです。
とりあえず一段落して、ものすごい痒みに気づきました。見てみると、膝下が赤い斑点で覆われています。
「ぎゃあ――――――――!!!」
蚊が1匹飛んでるだけで、叩き落とすまで眠れなくなる性分です。2度目のパニックに襲われたことは言うまでもありません。
 そのままバスに乗り、RERに飛び乗って、パリのシャンゼリゼ通りの24時間開いている薬局に行き、脚を見せ、一言「これに効く薬をちょうだい!」。
すでに斑点がボコボコと腫れて固く盛り上がっている脚に、薬局の人も首を振りながら軟膏をくれます。「ひどいね〜。それノミにダニだね。殺虫剤もいるんじゃない?」
買いましたとも、ええ。いらん出費に泣きながら。

 その日は忘れもしない7月14日、パリ祭の夜。真っ白になるほど薬を塗りたくった脚に、手には軟膏と殺虫剤を握りしめ、トロカデロ広場の群集にもまれてエッフェル塔に上がる花火を見ている、お馬鹿さん約1名。
 今思い出しても、脳は痺れ、手足はとっても痒くなります。痒い〜。




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Rewrote 28 July 2001

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