オックスフォード

The Mystery of Oxford, by Oxford, for Oxford …



INSPECTOR MORSE
主任警部モース



Ensanguining The Skies
How Heavily It Dies
Into The West Away;
Past Touch And Sight And Sound,
Not Further To Be Found,
How Hopeless Under Ground
Falls The Remorseful Day.
     (The last lines of Housman's poem)
空を朱に染めて
西へと去りゆく
その死のなんと重いこと
触れること、見ること、聞くことも
もはやかなわぬ
なんという絶望
地には悔恨の日が降りゆくのみ
原作&TVドラマ リスト
原作TVドラマ
(「 」は放映orビデオ発売時の邦題、( )は2001年NHK-BS2放映日)
1975 Last Bus to Woodstock
    『ウッドストック行最終バス』
1976 Last Seen Wearing
    『キドリントンから消えた娘』
1977 The Silent World of Nicholas Quinn
    『ニコラス・クインの静かな世界』
1979 Service of All the Dead
    『死者たちの礼拝』
1981 The Dead of Jericho
    『ジェリコ街の女』
1983 The Riddle of the Third Mile
    『謎まで三マイル』
1986  The Secret of Annexe 3
    『別館三号室の男』
1987  <TV SERIES ONE>
      6  Jan. "The Dead of Jericho"「ジェリコ街の女」(4/5)
     13 Jan. "The Silent World of Nicholas Quinn"
           「ニコラス・クインの静かな世界」(4/12)
     20 Jan. "Service of All the Dead"「死者たちの礼拝」(4/19)
     <TV SERIES TWO>
     25 Dec. "The Wolvercote Tongue"
           「ウルバーコートの留め具」(4/26)
1988    8  Mar. "Last Seen Wearing"「キドリントンから消えた娘」(5/3)
     15 Mar. "The Settling of the Sun"「日の沈む時」
     22 Mar. "Last Bus to Woodstock"
            「ウッドストック行最終バス」(5/10)
1989 The Wench is Dead
    『オックスフォード運河の殺人』
1989  <TV SERIES THREE>
      4  Jan. "Ghost in the Machine"「ハンベリー・ハウスの殺人」
     11 Jan. "The Last Enemy"「最後の敵」
     18 Jan. "Deceived by Flight"「欺かれた過去」
     25 Jan. "The Secret of Bay 5B"「カー・パーク5Bの謎」
1990  <TV SERIES FOUR>
      3  Jan. "The Infernal Serpent"「邪悪の蛇」
     10 Jan. "The Sins of the Fathers'"「ラドフォード家の遺産」
     17 Jan. "Driven to Distraction"「死を呼ぶドライヴ」
     24 Jan. "Masonic Mysteries"「魔笛〜メソニック・ミステリー」
1991 The Jewel That was Ours
    『消えた装身具』
1991  <TV SERIES FIVE>
     20 Feb. "Second Time Around"「メアリー・ラプスレイに起こったこと」
     27 Feb. "Fat Chance"「ファット・チャンス」
     13 Mar. "Who Killed Harry Field?"
           「誰がハリー・フィールドを殺したのか?」
     20 Mar. "Greeks Bearing Gifts"「ギリシャ人の贈り物」
     27 Mar. "Promised Land"「約束の地」
1992 The Way Through the Woods
    『森を抜ける道』
1992  <TV SERIES SIX>
     26 Feb. "Dead on Time"「デッド・オン・タイム」
     11 Mar. "Happy Families"「ハッピー・ファミリー」
     25 Mar. "The Death of the Self"「モース イタリアの事件」
      8  Apr. "Absolute Conviction"「有罪判決」
     15 Apr. "Cherubim and Seraphim"「ケルビムとセラフィム」
1993 Morse's Greatest Mystery and Other Stories
    『モース警部、最大の事件』(短編集)
1993  <TV SERIES SEVEN>
      6  Jan. "Deadly Slumber"
     13 Jan. "The Day of the Devil"
     20 Jan. "Twilight of the Gods"
1994 The Daughters of Cains
    『カインの娘たち』
1995  <SPECIAL EPISODE>
     29 Nov. "The Way Through the Wood"「森を抜ける道」(5/24)
1996 Death is Now My Neighbour
    『死はわが隣人』
1996  <SPECIAL EPISODE>
     27 Nov. "The Daughters of Cains"「カインの娘たち」(5/31)
1997  <SPECIAL EPISODE>
     19 Nov. "Death Is Now My Neighbour"「死はわが隣人」(6/14)
1998  <SPECIAL EPISODE>
     11 Nov. "The Wench is Dead"「オックスフォード運河の殺人」(6/21)
1999 The Remorseful Day
    『悔恨の日』
2000  <SPECIAL EPISODE>
     15 Nov. "The Remorseful Day"「悔恨の日」(7/12)



<翻訳>
『ウッドストック行き最終バス』〜『カインの娘たち』 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ
                               ハヤカワ・ミステリ文庫
『死はわが隣人』『悔恨の日』 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ

<VIDEO>
『モース警部シリーズ』第1巻「ジェリコ街の女」〜第20巻「約束の地」発売中
           第21巻「デッド・オン・タイム」7月25日発売 〜第25巻「ケルビムとセラフィム」順次発売予定
           日本クラウン 各巻/価格(税抜)7,000円 日本語字幕 約104分

<SOUND TRACK>
「モース警部サウンドトラック CD Vol.2」
「モース警部サウンドトラック CD Vol.3」
「モース警部サウンドトラック CD "エッセンシャル・コレクション"」
 『主任警部モース』関係の一連の「作品」のリストです。我ながら偏執的というか。日本の個人サイトでは一番詳しいリストじゃないかと思ったり…いいすぎですか(笑)。内容まではふれてませんものね。全作品を知っているわけではないので、リスト止まりです。

 モース主任警部とは結構長いつき合いです。最初に『ウッドストック行最終バス』を読んだのは1992年。「ハヤカワ ミステリ・フェア'92」で“女の基準。パレツキーと仲間たち”というテーマで紹介されていました。しかしあまり印象に残らなかったので、それきりに。
なのにいつの間にやら『キドリントンから消えた娘』が本棚にあり、『死者たちの礼拝』『謎まで三マイル』『消えた装身具』『森を抜ける道』などなど文庫初版をもっているあたり…無意識にハマっていたらしいです。

 当時はオックスフォードなんて想像上の街でした。渡英し1年をあの街で暮らして、今では書かれた情景を「あぁ、あそこか」と映像化できます。それだけコリン・デクスターの地理描写がしっかりしているということで、ご当地オックスフォードの住民がこの作品をこよなく愛する気持ちがわかります。次にモース主任警部が現れて、本に描かれるのは、自分の家の前の路地かも知れないのですから。
モースムック
"THE MAKING OF
INSPECTOR MORSE"
MACMILLAN LONDON LIMITED
これがずらっと書店の本棚に。
 1993年、英国で視聴率第1位を獲得。そして、あのシャーロック・ホームズを抜いて「英国人気ナンバー1探偵」の栄誉に輝いたモース。オックスフォードの書店では、この番組のムック本が出た時、新刊の本棚の二段に表紙を向けてずらっと並ぶくらい大人気でした。


 原作はコリン・デクスター。全作、オックス・ファンには必携書です。
オックスフォード初心者の方は、『消えた装身具』(TVサブタイトルは「ウルバーコートの留め具」)がお薦め。これはアメリカ人ツアー客が物語の中心なので、ランドルフ・ホテルを中心に市街観光ガイドとしても読めます。また、オックス観光で個人的に絶対お薦めのBlenheim Palace(ブレナム・パレス)が、『ウッドストック行最終バス』、『森を抜ける道』に登場します。
 と書けば、「あぁ、単なるご当地ミステリか」と誤解されるかもしれませんね。いえいえ、とんでもない。
推理を進める探偵が「論理的」「理知的」であるがゆえに失敗し、二転三転した挙げ句、収束させる。これは新しい、デクスターならでは手法です。
科学捜査を主軸にストーリーが進む現代ミステリの風潮に、あくまでも推理の流れで物語を作り上げる。モースの推理過程にユーモア・ミステリの味わいを加味しながら、本格ものの品位を確保しているという、ミステリ界でも存在感のあるシリーズなのです。
また、「悪い文法のサウンド」を嫌うモースの、言葉遊びを含んだウイットに富んだウェットな話術もチェックポイントです。

 オックスフォードでは、今年7月16日(つい最近ですね)、シェルドニアン・シアターにて「A Concert of Inspector Morse Music」が開催され、コリン・デクスターも来場したとか。まだまだ熱さめやらずでしょうか。
ブレナム
ブレナム・パレスの敷地。遠景に宮殿と橋(『ウッドストック行最終バス』、『森を抜ける道』)
About Author  Colin Dexter

 本名ノーマン・コリン・デクスター。1930年生まれ。処女作は'75年『ウッドストック行最終バス』。『死者たちの礼拝』『ジェリコ街の女』で英国推理作家協会(CWA)賞シルバー・ダガー、『オックスフォード運河の殺人』『森を抜ける道』でゴールド・ダガーを受賞。ケンブリッジ大学クライスト・カレッジで学び、グラマー・スクールの古典学講師を経て、オックスフォード地方試験委員会の副書記を務めました。クロスワード・パズルの製作者としても有名で、英国で3度チャンピオンを獲得。なので、モースもクロスワードとアナグラム(文字の並べ替え)が得意です。
 第1作&第2作と、第3作以降で、ファンの好みが分かれます。第1作で「ダメ」と思われた方、第3作以降を読んでみてください。逆もしかり。
 TVシリーズが始まってからは、TVオリジナル・エピソードの脚本をデクスター自身が手掛けたこともあり、その作品にTV的な描写手法も用いられるようなりました。特に『消えた装身具』は、TVオリジナルの「ウルバーコートの留め具」用に自ら書き下ろした脚本が原形になっています。デクスターがほとんどのTVエピソードに出没しているところからも、原作者とドラマの密接な関係がうかがえます。
 デクスターの作品は、TVドラマ化に非常に影響を受けました。初期の作品のファンは「推理のアクロバティックな展開が甘くなった」などお嘆きですが、TVから入ったファンには、特に人物描写の点で、後期の作品に軍配をあげる人が多いです。
 オックスフォードのシティ・セントラルにある観光アトラクション「オックスフォード・ストーリー」には、名誉市民としてコリン・デクスターの名が金文字で書かれています。
 いわばモース主任警部ありき、TVドラマありき、の状態に何か思うところがあったのでしょうか。
TVドラマでキャストの降板希望が出たりしたようですが、なんだかんだでシリーズ終了後も、視聴者のあまりに強い要望に年1回のTVスペシャルが製作されてきました。
 読者の、そして視聴者の新作を望む声に、1999年、ついに『悔恨の日』が書かれました。

 コナン・ドイルが一度は抹殺したシャーロック・ホームズ。
 ひとり歩きを始めた作品が辿る、ひとつの結末を示しているように思えるのです。
キングス・アームス
モース行きつけのパブ"King's Arms (キングス・アームス)"
About Character
Chief Inspector Endeavour Morse

 常に署名は「E. Morse」(rを足すとremorse(悔恨)、なるほど暗示的。気づいた解説の方、すごい)。ファーストネームを聞く輩には「モースと呼んでくれ」。だから伏せ字にしておきます。彼の気持ちに反してでも見たい人は、カーソルを置いてみて下さい(笑)。
 モースはテムズ・バレイ警察のChief Inspector(主任警部)で、悠々自適の独身貴族です。
 オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジで学生時代を過ごしました。住居はバンベリー・ロードのフラット。
 女性が好き(“たらし”ではない)。どんなに混んでるパブででも、好みの女性にはビシッと視線が止ります。また、相手の女性も、彼の鋭い視線を意識しているという…(そして、たいてい事件関係者なのはお約束)。音楽(特にフルトヴェングラー指揮のワーグナー)が好き。
 「モースを見つけたければパブに行け」というくらい酒も大好き。基本的に飲むのはReal Aleと呼ばれる地ビール。酒代はルイスに払っていただくモノで、ごくごくたまに「返す」とか「おごる」とか言うと、皆が驚愕します。
 得意なものは、引用と言葉遊びと皮肉に、クロスワード・パズル。嫌いなものはyuppiesと血と聞き苦しい文法。高所恐怖症でもあります。けっこう苦手なものが多いですね。
 TVでの愛車は赤の1960年型ジャガーMK-?。小説では、調子の悪いキャバリエで登場します。この車、英国中年男性(壮年?)の定番カーなんでしょうか。知り合いがけっこう乗っていました。まぁ、名前がキャバリエ(騎士)ですからねぇ。英国ジェントルマン好みなのかも。
 なかなかにディレッタントで、女性からは"The Melancholy Man"とみえるようです。

 まず「事件→殺人」と考えなければ、動けない(動かない)タイプ。「殺された」と思い込んだとたん、灰色の脳細胞が動き出します。おかげでとんでもない方向へも行ってしまいますが、結局「おれの言ったとおりだ」となり、皆がうなずいてしまう、不思議な思考回路をもっています。
 ちなみにモースの本拠地はキドリントンのテムズ・バレイ警察署です。
オックスフォード・セントラルのセント・オルデイツ通りには、彼がしょっちゅう出入りしている市警察本部があります、本当に(笑)。
 CAST:John Thaw (ジョン・ソウ)

 モース主任警部役で、1990年と1993年、British Academy of Film and Television Arts(BAFTA)のベスト・アクター賞を受賞。ITVとTV Timesの賞も得ています。
2001年5月13日に発表された2001 BAFTA TV部門の一般投票によるLEW GRADE AWARDを「悔恨の日」が受賞。
同時にジョン・ソウがBAFTAのフェローシップ(評議員)受けています。これはアカデミー最高の賞だそうで、モース警部人気はまだまだ衰えていないようです。
 シェイクスピアの舞台や映画でも活躍。リチャード・アッテンボロー監督作品の"Cry Freedom"と、チャップリンの半生を描いた"Chaplin"にフレッド・カルノ役で出演。TVでは、"Stanley and the Women"、"A Year in Provence"「プロヴァンスの12ヵ月」、1994年、1995年には"Kavanagh QC"で女王の相談役を演じています。
 食道癌の治療で休養。2002年2月21日、永眠されました。衷心よりご冥福をお祈りします。
Detective Sergent Robert Lewis

 ルイス部長刑事。ニューカッスルの出身で、愛妻家で家庭人。誠実でとても普通の人。
"Mr. Nice Guy"として英国中の老若男女の親愛を一身に浴びています。
 最初はぎくしゃくもしましたが、「あの二人がなぜうまくいくのか」と七不思議扱いされつつ、「モースにはルイス」の構図がすっかり定着。
警察内でも知らぬ者とてない変人モースに振り回されながらも、彼の事件解決能力を尊敬し、人となりを理解し、さり気なくフォローを入れるところがツボです。
 モースとの付き合いで、彼が一番イタいのは“お小遣い”でしょう。
モース、大抵ビール2パイントは飲むから、3ポンドは飛ぶ(笑)。自分はジュースだし…。
トラウト・イン
オックスフォドシャーならではのパブ"Trout Inn (トラウト・イン)"。
水辺で飲む一杯は最高!庭には孔雀がいます。
 「名探偵のワトスン役」のイメージとはひと味違って、彼自身も事件解決に正面から取り組みます。時にはモース以上の冴えをみせたり(というより、ルイスのような考え方で事件に向かうのが普通)、アクションに至っては、モースなど足元にも及ばない活躍ぶり。
 TVシリーズのウェイトリーの演技によって、原作以上に「モースの頭脳活動にルイスが有用」になったとか。
TVシリーズで成長したキャラと言えるかも知れません。
 CAST:Kevin Whately (ケヴィン・ウェイトリー)

 娘と息子をもつ彼は、家庭人であるルイスを演じやすかったとか。またルイスと同じ地方の出身というのもより役に入りやすかったそうです。
 TVシリーズは1999年"Pure Wickedness"、1997年"The Broker's Man"、1993年"Peak Practice"、1984年"Auf Wiedersehen, Pet"など。映画は1996年"The English Patient"「イングリッシュ・ペイシェント」、1992年"B&B"など。1996年のTVドラマ"Trip Trap"では、"Mr. Nice Guy"の殻を打ち破る、家庭内暴力をふるう夫役を演じました。


詩訳:雑文堂
参考書籍:"THE MAKING OF INSPECTOR MORSE" MACMILLAN LONDON LIMITED
     <モース警部シリーズ> ハヤカワ・ミステリ文庫 早川書房
     『ミステリ・ハンドブック』 早川書房
     "Radio Times" 27 Jan.-2 Feb. 1996、9-5 March 1996
参考サイト:<日本語>「Area B Partnership Company」Mystery Video Catalogue
      <英語> 「morsemania」
           「tripod」Inspector Morse & Kavanagh QC Infopage
           「INSPECTOR MORSE」


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Wrote 21 July 2001
Renewed 12 September 2001
Added Information 22 April 2002

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