ニューヨーク カウントダウンツアー
〜ボストン 火事騒ぎ&事故騒ぎ〜
ボストン茶会事件の舞台。当時の型の帆船が浮かぶ | ボストンは、アメリカ独立戦争の発端となった「ボストン茶会事件(The Boston Tea Party)」で知られる古都。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ボストン大学を擁する大学都市。そして、私の大好きなシャーロット・マクラウドのミステリー「セーラ・ケリング シリーズ」の舞台でもあります。 ちなみにボストン美術館は日本美術の優品を所蔵していることでも有名。水曜日は、21時45分まで開館している上、17時以降は料金が募金方式になります。通常10ドルが、志し次第。「タダでもいい?」と聞けば、「いいですよ」とチケット発行してくれました。 |
12月27日、ボストン2日目。この日の予定はハーバード・スクエアまで出かけて朝食、大学構内を観光して、市街へ。市街観光のあと、ボストン美術館へ行きます。 7時に起きて支度も整った7時45分。突如けたたましいベル音が響きました。続いて「エマージェンシーです。指示があるまで、各部屋にて待機して下さい」の放送。 今ひとつ現実感のない友人と私。 「あー今、火災報知器、鳴ったよね」「なんか部屋にいろってゆってるよ。まぁ、火元わからなかったら動けないよね」 “チャールズ河畔に立つ16階建ての眺めのいいホテル”の言葉にノセられて予約しましたが、部屋は2階の駐車場向き。チェックインした時はがっかりでしたが、非常事態には心強いです。何があっても窓から飛び下りれば全然OK。 5分経過。何の指示もなく放送もありません。 「いい加減、火にまかれてるよね、これは」「誤報かな?見てくるわ」 とドアを開けたら、向いの部屋の女性が折しも部屋に入るところ。寝ぼけたような感じの金髪の大学生は、「Don't disturb, please(起こさないで下さい)」の札を下げてドアを閉めました。 「やはり、ガセか」と思いつつ、階段からフロントを見下ろすと、宿泊客らしき4、5人が防寒具を着込んでバッグをもって立っています。 ちょうど、2階のレストランから、タキシードを着かけたおじさんたちスタッフが3人出てきました。 目が合うと、「大丈夫だよ。ボイラーのオーバーヒートで火災報知器が鳴ったんだ」「Really?(マジ?)」「Ye-s. No danger.(危険はない)」 すっかり安心して「じゃ、ハーバードまで行こうか」と観光ルックで部屋を出ようとした私たちを襲ったのは、またしても火災報知器の音。「エマージェンシーです。指示があるまで、各部屋にて待機して下さい」の放送。それにかぶるように消防車のサイレン。 「ファイヤー・エクスティンギシャーや(それは“消火器”。正しくはファイヤー・エンジン。日本語で会話してるのに変な英語が出るあたり、ちょっとウロたえてる)」 とりあえず1階に降りれば、フロントからロビーまで、防寒着を着て手荷物をもった人の群れが。レストランからはコーヒーポットと茶碗を盛ったワゴンが運ばれてきます。 「何かものものしいやん」「やっぱり今出ていくのやめよう」とコソコソ言っていうちに、3台の消防車がけたたましいサイレンと共に到着。消防士が4人登場。 事の推移が気になるので、コーヒーを飲みながら様子を見守ることに。消防士が2人、上階に上がって行きます。 |
10分ほどして、支配人らしき人が、ロビーでグループごとにひと固まりになっている客に説明して回りはじめました。黙って聞いて黙って部屋に戻る人もいましたが、「もうびっくりしたのよ。二度とごめんだわ」といいながら戻る人も多し。当然ですけどね。私たちの傍にいたインド人の家族は、特に奥さんがエラい剣幕で支配人にくってかかっていました。 |
いよいよ私たちの番になり、支配人が丁寧に言います。 「メダム、本当にすまないことでした」「何があったんです?」「11階のボイラーのパイプが折れて(おいおい)、噴き出した蒸気が火災報知器に触ったんです。11階はすべてシャットアウトしましたから、もう大丈夫です」「それはよかった。ありがとう」「……あなた方の部屋ナンバーは?」「はぁ?ツーオースリーですが」「203…それは、そっち側はよくないです」「はぁぁ?」「203ですよね。フロントへ行って、部屋を替えてもらって下さい」 と言いつつ、支配人自ら203のカードキーをもってフロントへ行ってしまいます。私たちが「え、どういうこと?」と尋ねる前に、彼はフロントに部屋替えの交渉を始めます。ところがフロントのお姉さんは「この部屋は別に問題ないです」と言い返しました。 | MITことマサチューセッツ工科大学 |
すると、彼はフロントデスクをバンッと叩き、早口でまくしたてたのです。 私の英語が怪しいので、わからないと思って早口で話したのでしょうが。甘いぞ、支配人。英語は話せないほど忘れていますが(泣)、米語は全く聞き取れませんが(号泣)、ブリティシュな発音をしてくれるかぎり多少早口でも聞き取れるのですよ(ふふふ)。 いはく「何だ、その言い方は! この二人に迷惑かけているのは、我々なんだ。予定もある旅行者なのに、我々の不手際で今まで待っててくれてるんだ。部屋を替えるくらい、してやったらどうなんだ!(超訳)」 アメリカ人でも(偏見あり)こういう物の考え方をする人がいるのか、とびっくり。いわゆる“昔気質”というヤツですね。日本人の美徳であったこんな気質も、最近は見られなくなりましたが。この支配人は、きれいな発音でもわかるとおり、かなり高学歴な感じです。全世界にわたるRadissonホテルグループでも結構な地位にいる人なのでは…勝手な想像ですが(笑)。 前日にチェックインした時の実に1/3の時間でコンピュータを操り、お姉さんが差し出したのは917のカードキー。 彼女には「Thanks」、支配人には「Thank you very much, indeed」と最高丁寧な礼を。 荷物をもって引越した9階のその部屋は、チャールズ川の向こうにボストン市街のスカイラインが見渡せる角部屋で、まさに“眺めのいい部屋”。キングサイズのベッドがふたつ。ちゃんとコーヒー粉付のコーヒーメーカーが嬉しい(ヒルトン・ニューヨークはコーヒーメーカーはあってもコーヒー粉がなく、どうしろっちゅうねん状態でした。他にもイロイロあって、ホテルアンケートには最低評価をつけた私)。 しかし、そのステキな部屋にはまだまだ落とし穴が…。でも、これはまた別の話です。 |
ハーバード大学の構内 | この日は緊急車両をよく見る日で、ハーバード大学のスクエアでも目撃することに。 大学の門に彫ってあるラテン文をカメラに納めたあと、遅い朝食を取りにスクエアに面したカフェに入りました。 注文してスープ&ベーグルを受け取って振り向いた。その間3分。 さっきまで私が立ってカメラを構えていた地点で、石油ローリーとタクシー(キャブ)がぶつかっています。 すでに双方の運転手が降りて、車の具合を見ている…ということは、ぶつかったのは私が動いた直後!? ぞぞっ。 ローリーはでかいだけにダメージも少なかったようですが、キャブはボンネットがぱくんと開いて、エンジン部分が内側にえぐれ、白い煙を吹いています。 |
いきなりの目が点な光景に、なんだかアメリカのコミック映画を観ているような非現実感が。 女性が道を渡ろうとし、止まったローリーにキャブが追突したらしいとは、友人の目撃証言。 ガラス張りのカフェの中で、次々にやってくるパトカー、救急車、消防車、特殊消防車、保険会社の車、けん引車を眺め、ローリーの運転手(白人の青年)、キャブの運転手(黒人のおっちゃん)、道を渡ろうとした女性(赤毛の長髪30代くらい)、キャブの乗客(栗色の髪の女性で、チェックのストールを身体に巻いている)がお互い主張する様子、警官らとのやりとりの一部始終をとっくり観察しました。声は聞こえませんでしたが、首を振り、両手でジェスチャアを交えながらの応酬に、やっぱり映画のロケを観ているような気分になりました。 まぁ、大事にならなかったのが幸い、しかし普通遭遇しないよね、な経験をしたコテコテのボストンの1日でした。 |
え、ステキな917号室の“落とし穴”が気になりますか?(笑) この日、ボストン美術館までの予定をこなし、友人と部屋で買ってきた缶ビールを開けたのは23時頃。そろそろ風呂に入ろうと、シャワーの栓をひねったのです。バスタブに湯が走り…浮き上がってきたのはどう考えても垢。げっ掃除してないんかい、とバスタブの栓を開いたら、湯が落ちていきません。これは、俗にいう“風呂詰まり”というヤツですね。 中途半端に湯気で濡れた身体のまま、電話を取り上げます。フロント…出ません。もう1回…出ません。んじゃコンシェルジェ…出ません。ルームサービス…出ません。プープープーと間抜けな音が返るのみです。それでもコールし続けて、ようやく「Hello! Can I help you?」の声が。この間15分。は〜い、ういにーどゆあへるぷで〜す。 「風呂が詰ってるのだけど」「明日の朝、修理を呼ぶわ」「(ここでキレました。低音入ります)あの〜、私たち〜今晩風呂使えないってことでしょう〜か?」「……私にできることは部屋を替えることくらいかしら」「そうして下さい!」 フロントまでキーを取りに来いというので、降りて行きました。すでに目付きがヤサぐれている私に、フロントの彼女は一言「Sorry」。他に何を言われても、疲れてる私は聞き取れなかったでしょう(笑)。 |
さて、ひろげていた荷物をスーツケースに押し込んで、お引っ越しです。替えてもらった907号室はやはり角部屋で、2つの部屋はエレベーターホールを挟んでフロアの端と端の位置関係です。 時刻は次の日に変わろうかというところ。それでも先を譲ってくれる友人に感謝し、バスタブに湯を張る間、用を足そうと…。普通はね、栓をひねれば、トイレの水位は落ちていくもんだと思うわけですよ。でもココのトイレはなんと水位が上がる上に、あふれてくるんですね〜。…ボケてる場合じゃないですね。これはつまり“トイレ詰まり”というヤツです。 結局、907を使って、トイレだけ917へ通いました。さしもの私もフロントに再コールする気力は残ってなかったです。未明に廊下をトレーナー姿でコソコソと、でもダッシュで走る日本人2名…。やはりビールが敗因ですか(笑)。ホテルアンケートに「9階の水まわりをチェックした方がよろしいかと存じます」と書いておきました。 | 独立戦争当時の墓も残る。町中にぽかりと墓地がある |
翌朝、2つのキーをフロントに返したら、「なぜ2つキーをもってるんだ」と責められましたよ。「夕べ風呂詰まってたから替えてもらった」といえば、不審そうな顔しつつ、ひと部屋分の請求書くれましたが。頼むから、業務連絡はきっちりしといてね。 1日のうちに、火事騒ぎ、事故騒ぎ、風呂詰まりにトイレ詰まり。いや〜ホント充実のボストンでしたぁ。 あ、トラブルはともかく、ボストンの街はまた来たいと思うくらいステキでしたから。その辺り、誤解なきよう。 |
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